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映画 アナザー プラネト(2011米) [日記(2014)]

アナザー プラネット [Blu-ray]
 原題、ANOTHER EARTH。レンタルショップのSFの棚に並んでいたのですが、SFだと思って見ると失望します。DVDのパケージ通りの映画で、もう一つの「地球」が空に浮かぶ世界の、この女性の物語です。

 大入学を控えたローダ(ブリット・マーリング)は、自動車事故を起こし、相手の車の女性と幼い子供が死にます。この時、すでにもうひとつの「地球」が空に浮かんでいることが、この映画の要件です。
 4年後、出所したローダは人と接触しない仕事を選び、高校の掃除係として働き出します。このローダの背後に、常にもうひとつの「地球」が映っています。この「地球」は、ローダの幻想ではなく、実際に地球に接近してきた実在の天体で、アメリカ大陸ソックリの大陸が存在するという天体です。そこには地球人そっくりの人が住んでいるのかという疑問を誰もが抱くわけで、地球外生命体を探査する科学者が無線を使って「地球」に呼びかけます。その呼びかけに応えたのは、なんとその科学者自身でした。つまり、「地球」も自分たちの惑星にそっくりな地球を見つけ、地球がとったように科学者を使って連絡を取ろうとしたわけです。パラレルワールドです。

 これでだいたい分かってしまうのですが、交通事故でふたりの人間を死なせ人生が狂ってしまったローダは、もうひとつの「地球」にいる自分自身を事故から救おうとするんだろう...。当たっていなくもないですが、少し違いました。

 以下ネタバレです。

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 ローダは、事故で死亡させた母子の夫ジョンを訪ねます。ローダは、妻と息子を失った失意から立ち直れず、荒廃した生活を送っているジョンの家に、清掃会社を名乗り、部屋掃除のため毎週通います。事故当時ローダは未成年だったため、ジョンはローダが犯人であることを知りません。最初は贖罪のために始めた掃除ですが、ジョンが次第に立ち直り普通の生活に戻るようになると、ジョンの家に通うことがローダの生きがいとなります。これも男女の出会いですから、ふたりが愛しあうようになるには時間はかかりません。

 もうひとつの「地球」はどうなったんだ? →地球とそっくりな「地球」に使節を送り込むこととなり、一般公募の結果ローダが当選します。この公募は、「地球」に行きたい動機を文章にまとめて競うコンテストで、(映画では触れられていませんが)ローダの動機は、「地球」にいるもうひとりの自分に交通事故について何事かを伝えるためにだったと思われます。「地球」旅行を前に、ローダはすべてをジョンに伝え、真実を知ったジョンはローダと別かれます。

 さてパラレルワールドの話です。ふたつの地球が近づいたことでパラレルワールドが崩れたいう学説が発表されます。つまり、「地球」ではローダの起こした事故は起きていず、ジョンの妻子は生きている可能性が出てきました。ローダは「地球」旅行の権利をジョンに譲り、ジョンは妻子と会うために「地球」に出かけます。この辺り、なんとなく「端折った」作りです。
 そしてローダは、「地球」からたってきた「ローダ」と出逢います・・・幕。

 後は各自が勝手に考えろという幕切れです。では勝手に考えます。
 地球外生命を探査する科学者のエピソードから分かるように、「地球」にはもうひとりの自分が存在しています。こちらで起こった出来事は「地球」でも起きているはずです。問題は、途中で出てきたパラレルワールドが崩れたという学説です。この説にすがってジョンは「地球」に出かけます。映画は、ラストの一歩手前まで、「もうひとつの人生」、「地球」ではジョンが妻子と幸せに暮らしているよいう幻想を抱かせておいて、最後の最後で「もうひとつの人生」なんか無い、と言い切ったのです。何故なら、「地球のローダ」もやはり事故を起こし、事故について何事かをローダに伝えるために、もし事故が起こっていなかったら警告するために、地球に来たわけです。従って、ジョンは、妻子を失った失意の自分と「地球」で出会うはずです。

 答えはもっと早くに用意されていました。高校の掃除係となったローダに、同僚の眼の不自由な老人が言いますね、全てを受け入れろ、と。出所したローダは、事故と殺人を受け入れることができないから掃除係となって現実逃避をしているわけです。老人が言いたかったのは「人生はひとつしかない、やり直しはきかない」ということだったのでしょう。ただ、不思議なことは、この老人は劇薬で自分の眼を潰し、さらに自分の耳も潰していることです。

 で、お薦めかというと、netで評判になっているほどの映画だとは思いません。ただ、もうひとつの地球が空に浮かんでいるシュールな光景には心打たれます。ブリット・マーリングが脚本、制作、主演を兼ねているようで、美人でなかなかの才人です。

監督:マイク・ケイヒル
脚本、制作:ブリット・マーリング
出演:ブリット・マーリング ウィリアム・メイポーザー 

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