保阪正康の『瀬島龍三―参謀の昭和史』に、参謀本部作戦課の瀬島が、同じ参謀本部情報課の堀栄三が発信した「台湾沖航空戦」の戦果に疑義をはさむ電報を握り潰す話があります。この堀が著した『大本営参謀の情報戦記』を読んでみました。同書は、1989年の出版で、当時の軍人の手記としては最も新しいものです。多くの太平洋戦の記録が公表され、戦後40年経って書かれたものですから、(意図せずに)自分の記憶を事実に沿って再編成するという危険はあります。研究者ではないので、そういう検証は保阪さんに任せておき、こちらとしては面白ければイイわけです。・・・期待に違わずなかなか面白いです。