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映画 墓石と決闘(1967米)BSシネマ [日記(2014)]

墓石と決闘 [DVD]
 原題:HOUR OF THE GUN。
 ジョン・スタージェスは、バート・ランカスター、カーク・ダグラスで『OK牧場の決斗』を撮っています。ここによると、

映画はヒットしジョン・スタージェスの代表作とも評されたが、スタージェス自身は作品の内容に不満で後に『墓石と決闘』(Hour of the Gun, 1967年)でワイアット・アープとドク・ホリデイの物語を作り直した。

とあり、その『墓石と決闘』がBSで放送されました。『荒野の七人』『大脱走』『鷲は舞いおりた』のジョン・スタージェスが、『OK牧場の決闘』が気にいらずに作りなおした、というところがミソです。
 『OK牧場の決斗』は、OKコラルの決闘(虐殺)で終わっていますが、『墓石と決闘』はOKコラルの決闘から始まるワイアット・アープの復讐の物語です。

 ちょっと復習しておきます。ワイアット・アープというのはアープ兄弟の次男で、長兄のバージルが保安官、ワイアット(ジェームズ・ガーナー)と三男のモーガンが保安官助手です。ドク・ホリデイ(ジェイソン・ロバーズ)は元歯科医のギャンブラーで、ワイアットの友人という関係です。舞台となるトゥームストーン(墓石)の町では、拳銃の携帯が禁止されています。クラントン(ロバート・ライアン)一味がこれを破って拳銃を携えたまま町に入ったため、保安官のアープ三兄弟とドクが武装解除に行き、OKコラルの決斗となります。つまり、アープたちは職務権限を行使したということになります。もっとも、アープ兄弟とクラントン一味は、様々な対立を抱えていたようですから、両派の確執が決闘という形になったということでしょう。

 この映画の特徴は、裁判のシーンが多いことです。OKコラルの決闘で味方を3名殺されたクラントンはアープを殺人罪で告訴しますが、保安官アープの職務権限ということで無罪。クラントンは殺し屋を使って兄と弟を闇討ちにし、兄は重傷弟は死亡します。ワイアットはクラントンを殺人教唆?で訴えますが敗訴。実はこれには裏があって、ワイアットは闇討ち犯の目撃情報を握っているわけですが、これを証拠として出さず、わざと負けます。ワイアットは、法律ではなくクラントン同じ土俵=無法の世界で「復讐」を決意したわけです。原題hour of the gunの謂れです。

 ハッキリ言って地味な映画です。女性も出てこなければ、感動のドラマもありません。ストーリーは、クラントン一味をひとりずつ射殺し復讐という一点に収斂してゆくだけです。ワイアットとドクも、他の映画のようにベタベタした関係ではなく、表面上はクール。クールなだけに、深いところで繋がっている友情を感じさせます。これ、ハードボイルドです。
 
 ワイアット・アープを、「OKコラルの決闘」とその後日譚までをカバーした映画には、ケヴン・コスナーの『ワイアット・アープ』、『トゥームストーン』があります。前者は冗長、後者はアクションに走り過ぎ。本作こそ、西部劇の保守本流、男の映画です(笑。『狼は天使の匂い』『ワイルドバンチ』のロバート・ライアンを悪役に起用するなど贅沢です(もう少し活躍して欲しかった)。オレが撮りたかった「OK牧場」はこれだ!という意気込みが伝わる一作です。でもヒットしなかったでしょうね。
 それにしても、『墓石と決闘』 という邦題はわかりにくです。トゥームストーンだから墓石なのか、もっと別の意味があるのでしょうか。

 お薦めです。『OK牧場の決斗』と併せて見ればさらによし。

監督:ジョン・スタージェス
出演:ジェームズ・ガーナー ジェイソン・ロバーズ ロバート・ライアン

タグ:BSシネマ
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