DVDが出たので遅まきながら見ました。

 宮崎駿は、『ナウシカ』『紅の豚』を始めとして執拗?に飛行機を描いてきました。その宮崎が、零戦の設計者・堀越二郎を主人公に、堀辰雄の『風立ちぬ』からヒロインを借りてきて戦前の「昭和」をノスタルジックに描いたラブストーリーです。一見ラブストーリーですが、中身は宮﨑アニメの集大成であり、告白録です。

【カプローニ】

 冒頭、二郎は夢の中で自作の飛行機で空を飛び、邪悪な存在によって墜落します。次いで、イタリアの飛行機設計家カプローニの夢と二郎の夢がつながります。飛行機の設計家になりたいと言う二郎に、カプローニは夢を形にするのが設計家だと言い、 

空を飛びたいという人類の夢は 、呪われた夢でもある
飛行機は殺戮と破壊の道具になる宿命を背負っている
わたしはピラミッドのある世界(飛行機)を選んだ、きみはどちらを選ぶね(カプローニ)

ぼくは美しい飛行機を作りたいと思っています(二郎)

たぶん、ここに宮崎版『風立ちぬ』の全てが集約されています。