今年も終わってしまいます。あれもこれもと計画はあったのですが、考えてみれば大したことしてませんねぇ。
 
【偏見読書】
・織田作之助
 きっかけは、小説家の「食」を扱った嵐山光三郎の『文人悪食』です。食い倒れの街・大阪の生んだ織田作が登場しないのはオカシイと、変な動機で読みました。代表作『夫婦善哉』には大阪の食があふれているじゃないですか。意外と面白いので、(無料だし)kindleで青空文庫を読むことになりました。『わが町』を読んで映画まで見てしまい、6月はもうオダサクどっぷり。ついでに坂口安吾、檀一雄の無頼派も...。
 33歳で夭折した織田作の魅力は、大阪へのこだわりと、全編これ青春小説であることです。仕出し屋の息子が、将来を嘱望されて三高に入り、彷徨の果てに小説家になるという、織田作の青春そのものが語られているところでしょう。昭和10年代の暗い時代を発禁を受けながらも阿らずに秀作を発表し、戦後、風俗小説を書きまくって自爆するように果てたその無頼ぶりです。