ロンドンの滞在型ホテルで起きる老婦人パルフリーの物語です。パルフリー夫人は、娘との生活に疲れたのどうか、気儘な生活を送ろうとクレアモントホテルにやって来ます。 クレアモントホテルの滞在客は老人ばかりで、イギリスには老人ホームに行く代わりにホテルに長期滞在するというスタイルがあるようです。長い人は、2年も滞在しています。老人ホームではなくホテルですから、「臨終禁止」。クレアモントホテルで臨終を迎えること、すなわち死ぬまでホテルに住むことは出来ません。
ホテルに滞在すれば、食事その他のホテルのサービスが受けられるわけで、老人ホームより快適かもしれません。バルフリー夫人は、ワーズワーズの詩集なんぞを読んで気ままに過ごしています。
ルードヴィクは作家を目指す貧乏青年、但しイケメン。パルフリーはお礼にクレアモントホテルの夕食に招待し、ホテルの老人たちには、自分の孫であると紹介します。イケメンで礼節をわきまえたルードヴィクを孫と紹介したことで、老人達の間に起きるささやかな波紋、年の離れたパルフリーとルードヴィクに通い合う心の機微が描かれます。
そして、音沙汰の無かった孫が現れ、母親を探して娘が現れます。この辺りで、ネタ割れの感が無きにしもあらず。遠くの肉親より近くの他人?となるわけです。
『クレアモントホテル』は一種の「姥捨て」の物語ですが、見方によっては「子捨て」「孫捨て」の物語でもあります。
出演:ジョーン・プロウライ、ルパート・フレンド