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映画 瀬戸内少年野球団(1984日) [日記(2015)]

瀬戸内三部作メモリアルDVDBOX
 原作は阿久悠の小説『瀬戸内少年野球団』。
 昭和20年、淡路島、敗戦後の世相を背景に小学5年生・竜太が大人の世界をのぞきながら成長するビルドゥングスロマンです。小道具は戦後の解放の象徴である「野球」。

 竜太(山内圭哉)を取り巻く大人達の第一番は、竜太の担任・駒子先生(夏目雅子)。網元に嫁に来て夫は戦死、小学校で教鞭をとる若い未亡人です。戦死した夫の弟(渡辺謙)が登場し、強引に兄嫁に迫り、周囲もそれを望むと云うよくある話です。
 落花狼藉→駒子は己を励ますように、竜太たち教え子と野球を始め 、瀬戸内少年野球団となります。駒子の夫は旧制中学時代に甲子園に出場したという経歴の持ち主。夫を偲び自身を律するための野球です。
 駒子の夫・正夫(郷ひろみ)が復員してくることで、話はもつれます。戦死の公報が出ているために駒子が既に再婚したことも考えられ、おまけに片足を失った傷痍軍人正夫は、密かに故郷に上陸し、駒子の動静をうかがいます。
 という  大人の事情が、竜太、バラケツ(大森嘉之)、武女(佐倉しおり)たち少年少女の目線で描かれます。

 床屋「猫屋」のおかみ(岩下志麻)は、床屋をたたんでバーを始め、バラケツの兄(島田紳助)は終戦の混乱に乗じて羽振りをきかせるなど、戦争の終わった解放感が見ている方にも伝染して来ます。戦争未亡人、戦犯と当時のありそうエピソードを解放の象徴・野球に収斂させてしまう辺りが、この映画の要でしょう。

 舞台が海の見える淡路島の故か、どことなく『東京物語』の尾道を彷彿とさせます。と思って見ると、床屋「猫屋」のおかみと旅役者の関係は(こちらはドタバタですが)、『浮草』。中身は全く違うのですが、 篠田正浩にそうした意図があったのかどうか →考えすぎですかね。
 阿久悠原作、篠田正浩監督にしては毒が無い、それが不満といえば不満です。『瀬戸内少年野球団』単独のDVDは無いようです。

監督:篠田正浩
出演:夏目雅子 渡辺謙 郷ひろみ 岩下志麻  伊丹十三 山内圭哉 大森嘉之 佐倉しおり
タグ:BSシネマ
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