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映画 クレアモントホテル(2005英米) [日記(2015)]

クレアモントホテル [DVD] 原題はMrs. Palfrey at the Claremont
 ロンドンの滞在型ホテルで起きる老婦人パルフリーの物語です。パルフリー夫人は、娘との生活に疲れたのどうか、気儘な生活を送ろうとクレアモントホテルにやって来ます。 クレアモントホテルの滞在客は老人ばかりで、イギリスには老人ホームに行く代わりにホテルに長期滞在するというスタイルがあるようです。長い人は、2年も滞在しています。老人ホームではなくホテルですから、「臨終禁止」。クレアモントホテルで臨終を迎えること、すなわち死ぬまでホテルに住むことは出来ません。
 ホテルに滞在すれば、食事その他のホテルのサービスが受けられるわけで、老人ホームより快適かもしれません。バルフリー夫人は、ワーズワーズの詩集なんぞを読んで気ままに過ごしています。

 パリフリーはロンドンに出てきたので、久々に孫息子に会いたいと連絡を入れますがなしのつぶて。折りも折り、バルフリーが図書館からの帰り道で転倒し、ルードヴィクという青年に助けられます。
 ルードヴィクは作家を目指す貧乏青年、但しイケメン。パルフリーはお礼にクレアモントホテルの夕食に招待し、ホテルの老人たちには、自分の孫であると紹介します。イケメンで礼節をわきまえたルードヴィクを孫と紹介したことで、老人達の間に起きるささやかな波紋、年の離れたパルフリーとルードヴィクに通い合う心の機微が描かれます。
 そして、音沙汰の無かった孫が現れ、母親を探して娘が現れます。この辺りで、ネタ割れの感が無きにしもあらず。遠くの肉親より近くの他人?となるわけです。

 ルードヴィクに恋人ができ、デートにパルフリーが誘われます。残り少ない人生と豊かな未来を持つ人生の二重奏ですね。しかしながら、ルードヴィクの未来には、パルフリーの孤独と「近くの他人」が待っていると考えると、何となく皮肉なシーンでもあります。

 クレアモントホテルの「臨終禁止」の規定通り、パルフリーはホテルの玄関で倒れ、ルードヴィクやホテルの住人に看取られながら静かに臨終を迎えます。
 『クレアモントホテル』は一種の「姥捨て」の物語ですが、見方によっては「子捨て」「孫捨て」の物語でもあります。

 おすすめと云うほどではありませんが、英国のしたたかな『姥捨て物語』です。

監督:ダン・アイルランド
出演:ジョーン・プロウライ、ルパート・フレンド
タグ:BSシネマ
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