社会学者の大澤真幸と橋爪大三郎のプロの学者による対談ですから、素人はついて行くだけでも大変。以下ひとりよがりの感想です。

 昔むかしあるところに、七人家族が暮らしていました。「戦後日本」と、表札が出ていました。かぞくは両親と、五人きょうだい。「日本国憲法」「民主主義」「市場経済」「科学技術」「文化芸術」という名の、いい子たちでした。
 でもある日、五人とも、養子だったことがわかります。「キリスト教」という、よその家から貰われて来たのです。
 そうか、どうりでときどき、自分でもおかしいなと思うことがあったんだ。そこできょうだいは相談して「キリスト教」家をほうもんすることにしました。本当の親に会って、自分たちがどうやって生まれたのか、育てられたか、教えてもらおう。忘れてしまった自分たちのルーツがわかったら、もっとしっかりできるような気がする...。(P344,あとがき)

という本です(笑。
 戦後民主主義教育の下で育ったので、日本国憲法に違和感はないし、市場経済の中で働いて、科学技術の恩恵を受けて暮らし、文化芸術を愛好して来ました。別に「キリスト教」家を訪ねなくてもいいのですが、対談だから読みやすいだろう、「新書大賞」受賞だし...。
 社会学者の大澤真幸がこれも社会学者で宗教社会学に詳しい(クリスチャンでもある)橋爪大三郎にキリスト教について聞くという対談です。先の『一神教vs.多神教』も対談でしたから、信仰にかかわる話はざっくばらんな対談の方が本音が出る、ということなのかも知れません。

第一部 一神教を理解する -期限としてのユダヤ教
第二部 イエス・キリストとは何か
第三部 いかに「西洋」をつくったか

の三部構成です。

識を駆使した対談を聞いても、素人はなかなか付いてゆけませんでした(笑。