桃の花がきれいに咲いたので、万葉集に詠まれた花を調べてみました。万葉集には150種を超える草花、樹木が詠われているそうです。そのうち何種類くらい身近(大阪府堺市)で見ることができるのか?と拾ってみました。画像はいずれもblogに載せた古いものです。

(3月24日、自宅の庭)
 
 ご近所からいただいた鉢植えの花桃です。
 春の園 紅にほふ桃の花 下照る道に 出で立つ娘子(大伴家持)

(3月1日、和泉市)
 
 毎年訪れる近所の梅園です。
春の野に 霧立ちわたり 降る雪と 人の見るまで 梅の花散る(田辺真上)

菜の花(茎立、くくたち、3月12日)
 
上野(かみつけの) 佐野の茎立(くくたち) 折りはやし あれは待たむゑ 今年来ずとも(作者不詳)
ポピュラーな春の花ですが、万葉集では1首のみ。当時は茎立(くくたち)と言ったそうで、現在の菜の花とは品種が違うようです。1首のみということは、自生する地域が限られていた?。「折りはやし」というのは、切って調理するすること。万葉人も食べていたようです。

すみれ(3月25日)
 
やまぶきの 咲きたる野辺の つぼ菫 この春の雨に 盛りなりけり(高田女王)
 雑草でそのあたり自生しています。目立たないですが、可憐です。

ふきのとう(3月21日)
 
 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ (光孝天皇)
この若菜は菜の花を連想しますが、雪が降っているので、蕗の薹かワラビかも知れません。

椿(つばき、3月24日、自宅の庭)
あしひきの  山椿咲く八つ峰越え 鹿待つ君が斎ひ妻かも(作者不詳)

(3月26日)
 
 近所の公園です。
あしひきの 山桜花日並べて かく咲きたらば いたく恋ひめやも(山部赤人)

馬酔木(あしび、あせび3月29日)
 
磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が ありと言はなくに(大来皇女)
やはり、馬が食べれば酔っぱらう?。

ノイバラ(3/30)
 
道の辺の 茨(うまら)の末(うれ)に 這ほ豆の からまる君を 別れか行かむ(丈部鳥)

ヤマツツジ(3月30日)
 
山越えて  遠津の浜の岩つつじ 我が来るまでにふふみてあり待て(作者不詳)
右は、登山道の脇に生えていたツツジです。こういう花が現れるとホッとします。

ヤマブキ(4月16日)
山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく(高市皇子)

かたくり(かたかご、4月27日、葛城山)
 
 大和葛城山(959m)のカタクリです。カタクリを見るためにわざわざ登りました。古語では堅香子(かたかご)と言うらしいです。
もののふの 八十娘子やそをとめらが 汲くみまがふ  寺井てらゐの上の 堅香子(かたかご)の花 (大伴家持)

タンポポ
 
 在来種タンポポ            白いタンポポもある
タンポポは春の代表的な山野草ですが、万葉集には無いらしいです。当時日本に入っていなかったのでしょうか、不思議。