原題は“L'Enfer(地獄)”。トリコロール・シリーズクシシュトフ・キェシロフスキの原案を死後に映画化したものです。Wikipediaによると

 ダンテの『神曲』をモチーフにした『天国編』『地獄編』『煉獄編』三部作の脚本に取り掛かっていた最中、心臓発作にて死去。三部作の脚本の完成部分『天国編』がトム・ティクヴァ監督により『ヘヴン』として映画化された。2005年、『地獄編』がダニス・タノヴィッチによって『美しき運命の傷痕』として映画化された。

とあります。「地獄」が「美しき運命の傷痕」に変ってます。作中フレデリックが大学で講義する「偶然と運命」から採ったのでしょう。「偶然から文学は生まれない」と言ってまから、この映画もなにがしかの「運命」を描いたものには間違いありません。すたしかに、「地獄」というタイトルでは売れませんよね。

 ソフィ、セーヌ、アンヌ三姉妹の物語です。長女ソフィは夫の浮気に悩み、次女セリーヌはどうも男性恐怖症で独身、三女の大学生アンヌは父子程も歳の離れた教授と不倫。三人のこの粘着質の日々が平行して進み、最後は彼女等の母親に収斂するという、ミステリアスな「これぞフランス映画!」です。