『人情紙風船』が面白かったので、“山中貞雄監督の現存する作品3本のうちの貴重な1本”というフレーズに釣られて見ました。昭和10年の制作です。

 丹下左膳というのは、隻眼隻腕のニヒルな浪人ということ以外全く知りません。浪人ですから、侍社会からドロップアウトしたヒーローだと思うのですが、この『丹下左膳余話 百萬両の壺』を見るとずっこけます。林不忘の丹下左膳の物語とは、“柳生家に伝わるこけ猿の壷の争奪戦を描いた物語”らしいです。たしかに「こけ猿の壷」も出てきますし「争奪戦」もあるわけですが、だいぶん趣が違っているようです。
 「 山田洋次監督が選んだ日本の名作100本~喜劇編~」の一編ですから、これは喜劇です。