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映画 (500)日のサマー(2009米) BSシネマ [日記(2014)]

(500)日のサマー [DVD]
 原題、(500) Days of Summer。
 邦題だけ見ると「500日の夏休み」みたいな雰囲気ですが、映画は、主人公トムがサマーという女性と出会った「500日の恋」を描いた、やや辛口のラブストーリー、コメディ仕立てです。面白いのは、男性の視点で描いていることでしょう。
 冒頭で、boy meets girl の映画だと断っています。this is not a love story. it is a story about love. ビッチ。ともありますから、ラブストーリーではなく、愛について描いた男女の出会いを描いた映画だということにならいます。bitch!ですから、男性の恨みつらみは相当に強烈です。

 主人公は、グリーティングカード会社でコピーライターの仕事をしているトム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)。グリーティングカードのコピーというのは、口当たりはいいが空虚な文言の羅列です。トムは建築家になりたかったようですがうまくゆかず、不本意ながらこの仕事をしているようですが、この「空虚な文言」を捻り出す才能がある、という設定です。
 トムの職場に、サマー(ズーイー・デシャネル)が秘書として入社したことで、トムの『(500)日のサマー』が始まります。

 この映画は、トムとサマーの「500日」に起こるエピソードを、時系列を無視して恣意的に(シャッフルして?)再構成しています。観客は、トムが恋に落ちたエピソードの次に振られて落ち込んでいるシーンを見せられ、500日をあっちへ行ったりこっちへ来たりして、トムの悲喜こもごもを追体験することになります。
 トムは、コピー室でサマーに誘惑(キス)されて恋に落ちます。トムは、恋についてロマンチストで、この出会いを「運命的な出会い」と信じたちまちサマーとの恋にのめりこんでゆきます。一方サマーは、運命的な出会いや恋などという、べたべたした人間関係を敬遠し、トムとの関係も刹那的な男友達と考えているリアリスト。このカップルをちょっと間延びした坊やのようなジョゼフ・ゴードン=レヴィットと、小悪魔的なズーイー・デシャネルが演じるのですが、ぴったりです。
 お互いの部屋を行き来するまでに進展しますから、トムは有頂天。ところが、運命の恋は破局に真っ逆さま。サマーにパーティー招かれますが、これが何とサマーの婚約パーティーで、誘惑されて捨てられたのは、女性ではなく男性のトムだったいうのがこの映画のミソです、よってbitch!。

 映画のオチです。トムは、運命的な出会いを信じてサマーと出会い、サマーはトムとは正反対に運命的な恋を否定して刹那的?に生きてきたわけです。ところが、サマーは、『ドリアン・グレイの肖像』か何か読んでいるときに今の旦那に声をかけられ、否定した筈の運命的な出会いの末結婚したのです。つまり、運命を信じたトムには運命的な出会いは訪れず、運命など信じなかったサマーに運命的出会いが訪れたという、よくある皮肉です。
 でトムはどうなったかというと、空虚な文言をひねり出すグリーティングカードのコピーライターを「やってられるか!」と辞め、当初の志望であった建築家を目指します。就職の面接で知り合った女性にデートの約束を取り付けますが、これは運命を感じたのではなく、おれも刹那的に生きよう、恋をしようという、サマー流の生き方の実践に他なりません。「500日の夏休み」は終わったさぁ新学期(新学年)だ、ということです。この面接で知り合った女性の名前はオータム(autumn)。
 何となく続編がありそうなラストシーンですが、続編となると難しいですが、これはぜひ制作してほしいものです。

 ‘boy meets girl’を斜めから描くとこうなる、という映画です。『恋人までの距離 ディスタンス』のようなラブストーリーに飽きた方にはお勧めです。

監督:マーク・ウェブ
出演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット ズーイー・デシャネル

タグ:BSシネマ
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