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映画 刑事マディガン(1968米) BSシネマ [日記(2014)]

刑事マディガン [DVD]
 NY23分署の刑事の3日間?を描いた警察ものですが、ちょっと毛色の変わった映画です。
 刑事のマディガン(リチャード・ウィドマーク)と ボナーロ(ハリー・ガーディノ)は、殺人容疑者を逮捕に行き、逆に拳銃を奪われ取り逃がすという失態を演じます。容疑者と一緒にベットにいた女性の裸体に幻惑されたというお粗末。このふたりは優秀な刑事という設定ですが、刑事も人間だと言いたいのかどうか。

 マディガンは捜査のためには暴力を振るうような刑事として描かれ、彼の元上司は、「マディガンはオレより上等な服を着て上等なランチを食っていた」と癒着ぶりを非難します。マディガンが成長?すると、『ダーティーハリー』のキャラハンになるのでしょう(監督はどちらもドン・シーゲル)

 この上司というのがNY市警の本部長(Commissioner)のラッセル(ヘンリー・フォンダ)。ラッセルは、警官だった時、管轄内のレストランが署員に配ったXmasの七面鳥をただ一人返したという逸話を持つ、謹厳実直を絵に描いたような人物です。「多少の癒着はあっても買収に応じる男ではない」とマディガンを弁護するのがラッセルの古い友人でもある監察官(Chief Insp)のケイン(ジェームズ・ホイットモア)。ラッセルの元にはケインとマフィアとの癒着を示す録音テープが届いているという設定です。つまり、

マディガン →優秀だが違法捜査もする刑事。犯人を取り逃がす大失態を演じる
ラッセル → 謹厳実直な本部長。親友のケインの汚職容疑で悩んでいる
ケイン →マディガンを弁護。マフィアとの汚職嫌疑がある

 ここで3人の家庭の内幕が描かれます。
 現場にこだわるマディガンは、昇進を蹴って週給200ドルの刑事に甘んじ、事件々々で警察署に泊まりこみ妻のジュリアを顧みない生活を送っています。クラブの歌手がマディガンに言い寄るシーンがありますが、オマエは2番目に愛している、1番目はジュリアだと公言し、その日は酔って歌手の家に泊まるのですが、ソファでおとなしく寝てしまいます。というマディガンとジュリアですが、時折ジュリアンの不満が爆発し、不満が逸脱して危機(不倫)に陥りかけるシーンが用意されたり、刑事の家庭というのはなかなか大変です。

 本部長のラッセルには、若くて美人の奥さんがいます。奥さんだと思って見ていると、これが人妻。七面鳥を受け取らなかった謹厳実直な本部長は、なんと不倫の真っ最中であることが明らかになります。「人倫」を踏み外したラッセルは、親友の汚職にどう決着をつけるのか?
 そしてケインの汚職の実態が明らかになります。ケイン家は4代続いた警官一家で、息子もまた警官。浪費家の妻を抱えたケインの息子は「街金」から大金を借り、それをネタにマフィアは「手入れ」に手心を加えるようにケインに圧力をかけてきたというのが「汚職」の中身です。

 マディガンとボナーロの捜査が軸とはなっていますが、描かれているのは、違法捜査も辞さないマディガン、人妻と不倫にはしるラッセル、息子のためにマフィアから脅されているケインの3人の警察官が、それぞれに抱えた問題をどう解決するのか、これこそが『刑事マディガン』の本筋のストーリーです。

 ドン・シーゲルというと『ダーティーハリー』ですが、どうしてどうしてアクション映画の中に人生の機微を描く監督なのです。クリント・イーストウッドは、『許されざる者』でセルジオ・レオーネとともに、ドン・シーゲルにも献辞を捧げています。
 お薦めかというと、テンポのはやい現在の映画に比べると冗長、刑事物にしては地味ですが、これはこれで面白い大人の映画です。 

監督:ドン・シーゲル
出演:リチャード・ウィドマーク ヘンリー・フォンダ

タグ:BSシネマ
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