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映画 八日目の蟬(2011日) BSシネマ [日記(2014)]

八日目の蝉 通常版 [DVD]
 2012年の日本アカデミー賞総なめという「傑作」です。生後4ヶ月で誘拐され、4歳まで誘拐犯に育てられた女性の物語です。「女性の女性による女性のための映画」です(笑。劇団ひとり”をはじめ、男性も登場するのですが、脇役というより端役に過ぎません。

物語1(希和子と薫の物語)
 不倫の果てに堕胎し、子供が産めなくなった希和子(永作博美)は、不倫相手の赤ん坊を誘拐し薫と名づけて育てます。かけこみ寺である女性ばかりのカルト教団に助けを求め、発覚を恐れてカルト教団を逃げ出した母子は小豆島の製麺工場に安住の地を見つけます。小豆島で偶然撮られた写真が全国紙に載ったことで誘拐が発覚し捕まります。

物語2(恵理菜となった薫の物語)
 大学生に成長した赤ん坊の薫、両親の元で本来の名前に還った恵理菜(井上真央)は、4歳まで誘拐犯に育てられ引き離されて実の両親に育てられ、「家族」を喪失ます。巡り合わせのように、恵理菜もまた不倫の果てに妊娠し、恵理菜の生い立ちに興味を持つジャーナリスト千草(小池栄子)とともにカルト教団、小豆島を訪れます。小豆島で4歳の自分と育ての母・希和子との思い出を取り戻した恵理菜は、子供を産もうと決心します。

 映画は、物語1と物語2をエピソード毎に交互に描くという構成を取り、観客は、過去の「希和子と薫の物語」と現在の「恵理菜となった薫の物語」を観ることになります。(原作を読んでいませんので何とも言えませんが)親子の絆は血のつながりではなく、母と子の慈しみであり共に暮らした思い出であることを描き、母性とは何かを問う映画のようです。
 この映画の上手さは、物語1で誘拐犯として追われる希和子と、希和子と薫の母子の愛情を思い入れたっぷりに描き、観客の涙を絞ることです。物語1が魅せますから、恵理菜が希和子との思い出によって母性を取り戻しシングルマザーとして子供を産もうと決意する物語2がややボヤケてしまっています。

 野村芳太郎の『砂の器』とよく似ています。『砂の器』も、郷里を追われた祖父と少年が、美しい日本の四季をさすらう物語1と、成長して作曲家となった少年が出自を隠すために殺人を犯す物語2に分かれています。物語1が感動的なのは勿論ですが、脚本の橋本忍、山田洋次が上手いのは、成長した少年が指揮するコンサートを背景に、刑事たちの追求の手が迫るという叙情+サスペンスでした。
 そうした意味で、『八日目の蟬』の物語2には不満が残ります。
 面白そうなので原作を読んでみようかと思います。

監督:成島出
出演:永作博美 井上真央 小池栄子

タグ:BSシネマ
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