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映画 それでも夜は明ける(12013英米) [日記(2015)]

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 アカデミー賞、ゴールデングローブ賞を始め各賞を受賞したという話題作です。一言で言えば奴隷映画。1841年、ニューヨーク州の自由黒人ソロモンが、騙され奴隷として南部の農園に売られ、12年の苦労の末我が家に辿り着くという映画です。奴隷解放宣言は1862年ですから、宣言より20年前の話です。
ソロモンによる原作を忠実に映画化したものか、奴隷虐待のエピソードはいろいろあるものの、これといってドラマもなくヒネリもなく、ストレートな映画です。逆言うと面白味に欠けます。

 自由黒人という言葉が出てきます。奴隷ではない黒人という意味でしょう。サイモンはこの自由黒人で、妻子があり一家を構え裕福な暮らしをしている黒人です。そのサイモンが、騙されて奴隷としてルイジアナの農場主に1000ドルで売り払われます。ここから、奴隷としてのサイモンの絵に書いたような苦難が描かれます。絵に書いたようなというのは、意外性に乏しいということです。奴隷を物と考える主人と奴隷監督による虐待が描かれます。サイモンが何かを成したかというと、じっと耐えるだけで何もしません。オイ、これはあんたの物語だろう!。
 性格破綻の主人エドウィン(マイケル・ファスベンダー)の方が個性的です。ではこの主人が何かをやてくれるかというと、せいぜい、綿の収穫の少ない奴隷を鞭で叩くか若い女奴隷を欲望のはけ口にする程度。せっかくの悪役ですから、もっとドラマを盛り上げろ!と言いたくなります。
 製作にも名を連ねているブラッド・ピッドが顔を出します。したり顔でヒューマニズムを説き、サイモンの救出に一役買いますが、中途半端。

 この映画の今日的意味が、全く不明です。自由黒人が拐われて奴隷になるという設定は、今までには無かったとおもいますが、黒人奴隷の虐待と取って付けたようなブラッド・ピッドご高説は、今さら映画で描く必要があるのかどうか。それとも、米国の奴隷制度を忘れた(教科書で習うはずですが)世代には新鮮なのでしょうか。それが今日的意味?。
 では何故アカデミー賞なのか。この娯楽性に乏しいヒューマニズムの映画に賞を与えることで、人種差別について免罪符を得ようと云う下心を勘ぐってしまいます。

 同じ奴隷を扱ったスピルヴァークの『アミスタッド』の方が、はるかにドラマがあり面白いです。原作に縛られた映画の限界でしょう。

監督:スティーヴ・マックイーン
出演:キウェテル・イジョフォー マイケル・ファスベンダー ベネディクト・カンバーバッチ


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