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映画 鉄道員(ぽっぽや)(1999東映) [日記(2015)]

鉄道員(ぽっぽや) [DVD]
 今更ですが、『鉄道員(ぽっぽや)』を見てみました。『地下鉄に乗って』はもうひとつでしたが、『鉄道員(ぽっぽや)』はよくできています。素材(原作)の違いもあるでしょうが、降旗康男、高倉健のコンビは強力で、大竹しのぶ、小林稔侍、広末涼子、奈良岡朋子の脇役陣も光ってます。

 日本アカデミー賞は、作品賞を始め監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞とほぼ総ナメ。

 何故これほど「ベタ褒め」になるかというと、北海道、鉄道員、ローカル線、廃線、定年、雪など、日本人の琴線に触れる素材から成り立っているからです。物語が、鉄道員・乙松(高倉健)の「行かふ年も又旅人なり」という人生の旅路だからでしょう。遅くに生まれた子供と、妻の最期を看取ってやれなかった仕事一筋の乙松。幸せな一生とは言いがたい乙松に、奇跡が訪れます。なんと、幼くして亡くなった娘の雪子が、成長した姿となって乙松の前に姿を現します。浅田次郎の泣かせの業が冴えわたります。

 この映画にはストーリーに破綻がありません。小説の映画化は、原作に引きずられて、原作のプロットや人物をもれなく描くことで冗長になりがちです。 
 浅田次郎によると、短篇小説に必要なものは、無駄のない文章と、思想と主題の明確な収斂、だといいます。従って無駄の無いカットと明確な主題を持った映画が出来上がったと云うことでしょう。

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 『昭和残侠伝』『網走番外地』以来の高倉健のファンです。健さんは、(失礼な話)演技の下手な俳優だと思ってきたのですが、今回は兜を脱ぎました。大竹しのぶ、小林稔侍を相手にした演技では、相変わらず武骨な(それが持ち味の)健さんですが、幼くして亡くなった娘・雪子の亡霊を相手にした演技は素晴らしいです。特に、雪子が17歳となって現れる、広末涼子との演技には瞠目しました。乙松の60年の人生の旅路が見事に凝縮されています。
 鉄道一筋の実直な乙松は、高倉健にまさにピッタリの役柄です。おまけに制服の似合う健さんですからよけい絵になります。

 というわけで、今更ですがお薦めです。

監督:降旗康男
原作:浅田次郎
出演:高倉健 大竹しのぶ 小林稔侍 広末涼子

タグ:BSシネマ
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