SSブログ

映画 叫びとささやき(1972 スウェーデン) [日記(2010)]

叫びとささやき [DVD]

叫びとささやき [DVD]

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD
 名作だという評判につられてNHK・BSで見ました。見るのが疲れる映画です。

カーリン(イングリッド・チューリン):長女、既婚
アグネス(ハリエット・アンデルセン):次女、独身、屋敷の主人
マリア(リヴ・ウルマン):三女、既婚
アンナ(カリ・シルヴァン):召使い

 登場人物はこの4人。時代は19世紀~20世紀初めでしょうか。不治の病で余命幾ばくもないアグネスと彼女を看病する姉カーリン、妹マリア、召使いアンナの物語です。

 (たぶん広大な)この屋敷にはアグネスと召使いのアンナのふたりきり、アグネスの急を聞いてカーリンとマリアは駆けつけてきたようです。
 かつて屋敷で共に過ごし、結婚によって散り散りとなった三姉妹が、次女の臨終によって再び会します。そこで繰りひろげられるのは姉妹の温かい交流ではなく、人生の重みにひしがれた彼女たちの刺々しく孤独な魂の再会です。
bergman-cries-and-whispers.jpg

 アグネスの主治医は彼女が長くないことをカーリンに告げます。ドアの影で主治医を待っていたアンナは、昔の(男女)関係を取り戻そうと医者に呼びかけます。アンナと医者はかつて不倫の関係にあり、それが原因で夫は自殺未遂を起こしていことが明かされます。

 姉のカーリンは、外交官の夫との関係は冷めていますが、なお冷めやらぬ女の情念に突き動かされ、自分の身体を傷つけ流れる血によって『女』であることを証明しようとした過去が明かされます。

 次女アグネスは、(どうやら)姉と妹の結婚によって父母を看取り屋敷を守ることで婚期を逸し、今また死の床で孤独を囲っています。

 この三姉妹に仕え彼女たちをジッと見ているのが召使いのアンナ。アンナもまた娘を亡くし(どうやら)行く当てもない孤独な境遇の様です。病の痛みに耐えかねるアグネスを、親鳥が雛を抱くように胸をはだけて抱き、献身的に看護する姿は、亡くした娘への追慕でしょうか。

 映画は、彼女たちの表情をアップで捕らえ4人の心の襞に分け入ります。

 やがてアグネスは死に、遺体を安置した部屋からすすり泣きがきこえるのです。死んでなおさ迷う孤独な霊魂は姉を呼び、妹を呼び慰めてほしいと言います。カーリンは、愛してもいない妹の魂を慰めることを拒否し、マリアは愛する姉の亡骸に近づきますが、アグネスの手がマリア伸びるに及んで恐怖に駆られ逃げ出してしまいます。アンナただひとりが、かつてのように胸をはだけ亡骸を抱いてアグネスを慰めます。殆どホラーです。

 アグネスの葬儀も終わり、カーリンとマリアはアンナに暇を出し屋敷を売り払いそれぞれの生活に戻ってゆきます。

叫びもささやきも かくして沈黙に帰した

エンディングです。『叫びとささやき』は人生の起伏を、『沈黙』は死を意味しているのでしょうか?

 と書いても、この映画の感想を書いたことにはならないでしょうね。
 深紅をバックに白い部屋着の4人の女達が織りなすドラマは、舞台を見ている様です。映画の持つ表現の多様性に触れた思いがしました。監督のイングマール・ベルイマンは、難解、深遠で定評のあるどうも大変な監督の様で、『叫びとささやき』にしても、土曜の午後に安直に楽しむ映画でないようです。

製作・監督・脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
出演:
イングリッド・チューリン
ハリエット・アンデルセン
リヴ・ウルマン
カリ・シルヴァン


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0