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映画 パフューム ある人殺しの物語 [日記(2010)]

(2006独仏西 Perfume: The Story of a Murderer)

 また凄い映画です。香り・臭いへの異常な嗜好はハンニバル・レクターのカニバリズム以上にグロテスクでかつ官能的です。

 18世紀のパリ、臭いに異常に敏感で数万種類の香りを嗅ぎ分ける香水調剤師グルヌイユの物語。以下ネタバレですが映画のプロットを列記します。

●主人公グルヌイユは動物や魚の内臓の悪臭溢れる場末に産み落とされる。
●路で出会った少女の臭いに誘かれて後を追い結局殺してしまう。

●少女の臭いが忘れられず、臭いを定着させる方法を探して調香師の弟子となる。
●グルヌイユは自身に体臭が無いことを知る。
●人体から香り抽出する手法を開発する。
●理想の香水を調合するために連続殺人を犯し、『香水』が完成する。
●猟奇殺人が発覚し逮捕され、死刑が執行される。
●『香水』を付けて刑場に現れたグルヌイユを、見物人は『天使』と呼び、『香水』による集団催眠にかかる。
●人々はグルヌイユの身代わりを見つけ処刑する。
●故郷に戻ったグルヌイユは自らに『香水』を振りかけるが、臭いに狂った群衆に押しつぶされ消える。

これって政治的宗教的寓話だと思いませんか?

 特に、グルヌイユは殺人犯として処刑台に立ちますが、彼の身体から発する『香水』を嗅いだ見物人はグルヌイユを『天使』と崇め、『香水』に惑わされて何百人の群衆が乱交に及びます。我に返った群衆はグルヌイユの存在そのものを不問にし、身代わりを仕立てて処刑します。この辺りの寓意は凄いと思います。グルヌイユが『香水』によって故郷で消える(食い殺される?)辺りもまた。

 深読みすれば、グルヌイユは、ヒトラーでもありイエスなのかもしれません。聖職者は犯人不明の段階でこれを破門し、刑場で『香水』に酔ってグルヌイユを『人間ではない天使だ』と叫びます。脚本でも、まさか『神』とは書けませんね。
あまりにも刺激的すぎるのか、賞にはノミネートさえされていないようです。

 DVDのジャケットは、この映画を何も伝えていませんねぇ。これだと、ラブロマンスと間違えます。

 立派な鼻がものを言ったわけでも無いでしょうが、グルヌイユが弟子入りする調香師をダスティン・ホフマンが演じています。『香水』の最期の犠牲者となる女性の父親(アラン・リックマン)、何処かで見たと思ったら、ハリー・ポッターのスネイプです。主演のベン・ウィショーは初めて見ましたが、なかなか怖いです。

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映画・パフュームのクライマックスです。

監督:トム・ティクヴァ
出演:
ベン・ウィショー
ダスティン・ホフマン
アラン・リックマン


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