映画 ゴーストライター(2010仏独英) [日記(2012)]
よくできたポリティカル・サスペンスです。要は、殺人の背後に政治的陰謀が絡むからポリティカルかつサスペンスです。ケネディ暗殺を扱った「JFK」やCIAとピッグス湾事件を描いた「グッドシェパード」、「エネミー・オブ・アメリカ」などがそれに当たります。国家の犯罪ですね。
折から、ラングの現役時代の不祥事が発覚します。ラング内閣の閣僚のひとりが、イラク戦争で捕虜を拷問したという内部告発をしたため、国際司法裁判所が調査に乗り出し、デモ隊がラングの住む島にまで押しかけます。この状況の中で、マクレガーはラングをインタビューし自伝を書き継ぎます。例えば、女の尻を追いかけることしか興味が無かったラングが政治に目覚めたきっかけが、現在の夫人であるルース(オリヴィア・ウィリアムズ)だったようです。ルースの存在が次第にクローズアップされてきます。ラングは妻のルースとともに滞在していますが、マクレガーを推薦したのがルースであり、ラングの政策決定の重要な鍵を握る人物であったことが明らかになりす。
自殺したゴーストライターの遺品を整理すると、彼はラングのオックスフォード時代の過去を洗っていたようで、不審と謎が次々と浮かび上がってきます。ゴーストライターはラングの過去を知ったために殺されたのではないか、という疑念が浮上します。
なるほどうまいなと思うのですが、自殺したゴーストライターが乗っていた(フェリーに残した)車のナビに導かれてマクレガーは彼が自殺した真相、殺された真相に近づいて行きます。ナビには、ゴーストライターの死ぬ直前の行動が記録されていたわけですね。ナビが連れて行った先は大学教授の屋敷で、ゴーストライターはこの教授との面会の直後に死んでいます。そしてこの教授とラングの繋がりが明らかになり、教授とCIAの関係が浮かび上がってきます。イラク戦争に積極的に介入したラングの政策の後ろにはCIAがいたのではないか、ラングはCIAにリクルートされたCIA要員だったというとんでもない疑惑が浮上します...。
ゴーストライターが発見した真相にマクレガーがたどり着いた時、マクレガーにもまたゴーストライターと同じ運命が襲いかかります...。これ以上はネタバレになるので書けませんが、この後どんでん返しがあって驚きの真相が明らかにされます。
はっきり言って、ラング=ブレア元首相ですね。ブレア元首相とCIAの関係は知りませんが、日本では日米安保条約を改定した某首相はCIAだった(CIAから資金提供を受けていた)というのは有名な話しですから、「ゴーストライター」という映画は十分に成り立ちそうです。
監督は「いろいろある」ロマン・ポランスキーです。「オリバー・ツィスト」は駄作でしたが「ゴーストライター」で汚名返上でしょうか。ピアース・ブロスナンは007ですね。イギリスの映画のくせに、MI6もジェームズ・ボンドも出てこずにCIAですから、ちょっと残念に思っていたのですが、こういう仕掛けがあったっんですね。「死体はあそこに流れ着かない」とマクレガーと絡む老人ですが、なんと「荒野の七人」「続・夕陽のガンマン」のイーライ・ウォラックのようです、御年95歳!。
サスペンス映画としてお薦めです。
監督・脚本: ロマン・ポランスキー
出演:ユアン・マクレガー ピアース・ブロスナン オリヴィア・ウィリアムズ
出演:ユアン・マクレガー ピアース・ブロスナン オリヴィア・ウィリアムズ
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
by 履歴書バイブル (2012-06-26 12:46)
お褒めにあずかって恐縮です。きっと、素材(映画)がいいのです。
by べっちゃん (2012-06-26 20:58)