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映画 フリック・ストーリー(1975仏) BSシネマ [日記(2014)]

フリック・ストーリー [DVD]
 原題、Flic Story(警察物語)。
 『危険がいっぱい』『地下室のメロディー』のアラン・ドロンと、『男と女』『狼は天使の匂い』のジャン=ルイ・トランティニャンが競演する「警察もの」です。仏映画の警察ものというと、ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデューの名作『あるいは裏切りという名の犬』を思い出しますが、この『フリック・ストーリー』もハリウッドとは一味違った警察ものに仕上がっています。
 制作にアラン・ドロンが名を連ね、原作者のロジェ・ボルニッシュとドロン演じる主人公が同じ名前ですから、実録ものということになります。ドロンが自ら制作、主演したフィルム・ノワールです。

 国家警察の刑事・ロジェ・ボルニッシュ(アラン・ドロン)の独白からスタートします。ボルニッシュは、主任刑事に昇格間近の敏腕の刑事。昇格すれば同棲中の恋人カトリーヌ(クローディーヌ・オージェ)と結婚するという背景が語られます(後ほどカトリーヌが大活躍します)。『あるいは裏切りという名の犬』もパリ警視庁BRI(探索出動班)とBRB(強盗鎮圧班)の熾烈な縄張り争いでしたが、パリでは、国家警察と警視庁がライバル関係にあるようです。ボルニッシュの上司は、警視庁には負けるなと昇格をエサにボルニッシュにハッパをけ、このあたりの事情がうかがい知れます。
 舞台は1947年のパリ。ボルニッシュは、兄がゲシュタポの拷問で死んだことを理由に、同僚の強引な取り調べを非難していますから、そうした時代背景も読み取るべきでしょうが、ストーリーにはからんできません。

 映画自体は、このボルニッシュが、脱獄した凶悪犯ビュイッソン(ジャン=ルイ・トランティニャン)を追いかけ逮捕する話です。ビュイッソンの犯罪がボルニッシュの捜査と同じ比重で描かれ、トランティニャンがドロンを食ってしまう存在感を発揮するところが、この映画の面白いところです。ビュイッソンは、強盗を起こしては冷酷に殺人を犯し、裏切り者は追い詰めて殺すという冷酷無比な殺人鬼。実在の犯罪者で、生涯36件の強盗殺人を犯したというビュイッソンを演じるトランティニャンが圧巻です(少し額が交代していますが)。
 アラン・ドロンとジャン=ルイ・トランティニャンという2大スターが競演する割には、映画は地味です。派手なアクションもなく、愛憎のドラマもなく、犯罪者と刑事の行き詰まる追跡劇もなく、トランティニャンは、やたらと拳銃をぶっ放し、2時間の映画で一度しか笑わず、ドロンは2時間の間ずっと煙草を咥えているという映画です(笑。

 ラストで、ボルニッシュがビュイッソンを取り調べるラストシーンがなかなかいいです。ボルニッシュは、午前中の取り調べを止めてビュイッソンに新聞を読む許可を与え、ワインを振る舞います。刑事と凶悪犯が仲良くなっても仕方がないと思うのですが、これは、アラン・ドロンが、ジャン=ルイ・トランティニャンに対して敬意を表したシーンでしょうね。

監督:ジャック・ドレー
出演:アラン・ドロン ジャン=ルイ・トランティニャン クローディーヌ・オージェ

タグ:BSシネマ
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