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映画 永遠の0 (2013日) [日記(2014)]

永遠の0 DVD通常版永遠の0 (講談社文庫)
 泣かせるツボを心得た原作ですから、映画の方もその通りの仕上がりです。
 話としてはシンプルです。司法試験を4回落ちた弟とフリーライターの姉が、当時の関係者に当たって、特攻で亡くなった祖父の姿を明らかにする物語です。最初は「海軍一の卑怯者」と言われた祖父の姿が、調査をすすめるに従って家族や部下を愛する「海軍一のゼロ戦乗り」へと変わります。家族を愛する祖父が、なぜ特攻に志願して死を選んだのか?という謎がストーリーを引っ張ります。その謎が解けた時、70年の時空を超えて『永遠の0』が現代の東京の空を飛びます。

 司法試験を4回落ちたプー太郎の健太郎(三浦春馬)とフリーライターの姉/慶子(吹石一恵)は、特攻で亡くなった祖父/宮部久蔵(岡田准一)の過去を調べ始めます。宮部は母親の実父で、祖母は久蔵が亡くなった後母親を連れて現在の祖父/賢一郎と再婚したという経緯が語られます。健太郎と慶子の実祖父/宮部久蔵探しが始まります。

 まず、抜群の腕を持ちながら空戦においては逃げまわり、特攻志願を拒否する「海軍一の卑怯者」宮部の姿が浮かび上がります。部下であった井崎(橋爪功)の証言によって、宮部の「臆病」は、戦争を生き延びて妻と子の元に帰るためであったことが明かされます。国のために死ぬことが務めであった時代に、妻子のために生き延びることが如何に大変であったかが語られ、それは現在で言う愛なのだと井崎は言います。

 「臆病者」宮部の真の姿が次々と明らかになります。僚機を無事帰還させることに心を砕き、教官となっては海軍の要求する速成教育を拒否し、生き残り得る操縦技術をもった特攻要員の養成を目論みます。
 やがて、特攻機護衛の任務のために鹿児島の鹿屋基地に配属となり、そこで宮部が見たものは、敵戦艦に遭遇する前に次々に撃ち落とされる特攻機の無残な姿です。この護衛任務で宮部の内部で、妻子のために生きて帰るという「臆病」が崩れ、宮部は何故か特攻に志願、します...。この後、泣かせるエピソードがあるのですが、省略。

 特攻機が無残に墜落する映像と無精髭でやつれた岡田准一で、特攻に志願した宮部の変節を描いています。小説でも曖昧だったと思いますが、反戦主義者で家族を第一に考える宮部が、なぜ特攻に志願したのか?。部下や飛行学校の教え子を死地に追いやった責任をとった、消耗戦の様相を呈する戦争に絶望した、愛する妻子、日本を護るための捨て石になった、等いろいろ考えられるでしょう。
 なぜ特攻を志願したのか、宮部自身分かっていなかったのだと思います。やむにやまれぬ情動のおもむくまま、彼は特攻機に乗り込んだのでしょう。連綿と続く日本民族の歴史に自分を同化したいという、ナショナリズム、ロマンティシズムと呼んでもいいのかもしれません。理由が無い事こそがこの小説(映画)のはらむ最大の問題ではないかと考えます。
 『永遠の0』は戦争賛美、特攻賛美の小説として批判されています。何処が?、と思います。

 零戦大好き私としては、空中戦が豊富にあって楽しめました。日本の空母(赤城)が映画に登場するのは初めてではないでしょうか?。
 映画も悪くはないですが、小説をお薦めします。 

監督:山崎貴
原作:百田尚樹
出演: 岡田准一 三浦春馬 井上真央 吹石一恵 夏八木勲
 
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 呉/大和ミュージアム の零戦           回天 

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