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映画 武士の家計簿(2010日) BSシネマ [日記(2014)]

武士の家計簿 スペシャルプライス版 [DVD]武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)
 加賀藩の算用者 、猪山家の江戸、明治の物語です。 武士にも色々あり、猪山家は七代続く藩の経理役人で、算盤で殿様に仕える「算盤侍」。加賀百万石ですから算用方が150人いたそうで、多くは薄給の下級武士だったそうです。
 幕末ですから、藩も藩士も商品経済に飲み込まれ、商人から借金して武士の体面をやっと保っていた時代の話です。

 猪山家の当主・信之(中村雅俊)は、自分の代で知行取りになったということが自慢の好々爺。嫡男でこの映画の主人公・直之(堺雅人)は、「算盤バカ」と呼ばれる謹厳実直な経理役人。150人いる藩の官僚組織のいひとりとしておとなしく勤めればいいのですが、算盤の腕によって藩の不正を暴いてしまいます。正義感というより、帳簿が合わないことに我慢ならなかったと云うことです。

 これに端を発し、藩の大掛かりな不正が発覚し、直之は藩主の側仕えに抜擢されます。「算盤侍」直之が藩財政を立て直すストーリーかと思ったのですが、タイトル通り「家計簿」で、直之が猪山家の家計を立て直す話となります。つまり、この映画は「ホームドラマ」なのです。

 息子の成之の袴着の祝で「にらみ鯛」が買えない事態から、猪山家の借金漬けの家計が明らかになります。なんと、信之と直之の年収の2倍の借金があります。猪山家を建て直すために、直之は祝の膳に実物の代わりに「にらみ鯛」の絵を並べ、家族親戚にその決意を示します。「算盤侍」直之がとったのは、家財の売却と徹底した倹約、家計簿による管理です。体面を捨て、自分の書籍から、父親の刀や骨董、妻や母親の着物を売って借金返済に当て、残りは無利子でという辺りは、どなたかに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。
 歳入の不足分を国債という借金でまかなっている、我国の財政に対する当てこすりですね(笑。逆に云うと、そうした昨今だからこの映画がウケるわけです。

 これに協力する良妻賢母の駒(仲間由紀恵)、泣く泣く着物を手放す母親の常(松坂慶子)、武士の魂は「算盤」だと言って名刀を手放す父親、書画骨董を売らされる「おばばさま」(草笛光子)、なにくれとなく猪山家を応援する駒の実父(西村雅彦)など登場人物は全員善人です。可哀想なのは、袴着の祝の翌日から家計簿を付けさせられる成之(映画の語り手でもある)。直之の教育方針によって、わずか5歳で算盤、習字、論語の素読から家計のヤリクリまでやらされます。ところが、これが明治になってから生きてくるというオチです。加賀藩の京都出兵に同道した成之は、算盤と経理の技術を見込まれ、大村益次郎の幕僚に取り立てられ、新政府の役人として出世します。

 と言ったホームドラマが、算盤の音をBGMに進行します。描かれるのは、質素、倹約、勤勉、正直、孝行。原作もベストセラーになり、映画もヒットしたようです。質素、倹約、勤勉、正直、孝行の映画が支持されるという時代なのでしょう。

 でお薦めかというと、浪費癖のある(私?)夫や妻をお持ちの方は、是非見せてあげて下さい(笑。

監督:森田芳光
出演:堺雅人 仲間由紀恵 中村雅俊 松坂慶子 西村雅彦

タグ:BSシネマ
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