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ジョン・グリシャム 原告側弁護人(上) [日記(2015)]

原告側弁護人 (上巻) (新潮文庫)
 映画『レインメーカー』の原作です。マット・デイモンの映画も悪くなかったのですが、小説では、主人公であるルーディ・ベイラーの背景が詳細に描かれています。ピザの配達とバーテンダーのアルバイトをしながらカレッジとロースクールを卒業し、就職先が破綻し自己破産の憂き目を見る逆境のなかで、弁護士として一本立ちしてゆく姿を描いています。
 舞台は、保守色の濃いテネシー州メンフィス。弁護士は掃いて捨てるほどいるというメンフィスで、ロースクール3年生のルーディの孤軍奮闘の物語です。

 弁護士になるためには、大学卒業後ロースクールで3年間勉学し、試験に合格する必要があります。ロースクールの卒業を控え、法律事務所への就職も決まって、残るは司法試験だけという時期に、ルーディに災難が降り掛かります。内定していた事務所が大手と合併したため就職がフイになります。タイミングのズレた就職活動と生活のための屈辱的な職探し、おまけに就職を当てにして使ったクレジットカードや家賃の支払いが出来ず自己破産、恋人にも去られるという踏んだり蹴ったりの状態となります。

 ルーディに救いの手を差し伸べるのが、アルバイト先のオーナー・プリンス。救いの手といえるかどうか?。プリンスは裏では違法行為もやっているというかなり怪しい人物で、プリンスの知り合いの弁護士ブルーザーを紹介されます。ブルーザーは、メンフィスの犯罪者の弁護を引き受けるという裏社会の弁護士。ルーディがブルーザーの弁護士事務所に入ってから、ストーリーは俄然面白くなります。所謂「イソ弁(居候弁護士)」の話です。この弁護士事務所の「運営方針」は、自分で事件を見つけて解決し、弁護料の1/3を受けとるというシステムです。2/3は、事務所の運営費とブルーザーの取り分ということです。ルーディは、弁護士試験を6回落ちた元保険会社の社員ディックと組んで、交通事故の被害者の保険請求代理人となるため、病院に張り込みます。日本でも弁護士が供給過剰となっているらしいですが、アメリカの弁護士も大変みたいです。

 映画『レインメーカー』では、ブルーザーをミッキー・ローク(エンゼルハート、レスラー)、ディックをダニー・デヴィート(バットマン・リターンズ)が演じています。このふたりですから、怪しさ満点でした。
 警察の手が伸びた悪徳弁護士ブルーザーは高飛び、ルーディとディックは事務所を失いやむなく独立することになります。

 という舞台で、新米弁護士ルーディが活躍します。独立したものの、手持ちの事件はボランティアの無料法律相談で、白血病を抱えた夫婦の医療保険請求と、遺産相続の遺言書作成のみ。ディックが捕まえてくる交通事故の示談で口糊をしのぎながら、ルーディはこの保険請求事件にのめり込みます。
 医療費の支払いを拒否され死期の迫った白血病患者のために、保険会社に1000万ドルの損害賠償を請求するという事件です。ロースクールを卒業したばかりの未経験の弁護士が、大手保険会社を相手に如何に戦うか、これが『原告側弁護人』です。


タグ:読書
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