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岡野雄一 ペコロスの母に会い行く [日記(2016)]

ペコロスの母に会いに行く
ペコロスの母に会いに行く 通常版 [DVD]
  森崎東の映画『ペコロスの母に会いに行く』に感心したので、原作を読んでみました。漫画を読むのはいったい何年ぶり? →漫画も以外といいじゃないか、という感想です。

 当たり前に映画のシーンがアチコチにあり、映画は原作に忠実に作られています。ラストシーンで、車椅子のミツエさんはベビーカーに乗った赤ん坊と出会います。原作では、「命がすれ違う」と題された8コマの漫画で、

散歩の途中・・・
命がふたつならが
すれ違う
人生の重荷を降ろした笑顔と
人生の重荷をまだ知らない笑顔の
何とよく似たものか
もうじき 春である

というキャプションが添えられています。映画では、この若い母親にミツエさんの若い頃を演じた原田貴和子を起用するという、心憎い演出です。

 亡くなった夫や兄弟、幼馴染みなどあの世の人がミツエさんを訪れます。ことにミツエさんの夫、従ってユウイチの父親「父ちゃん」は、この物語のもう一方の主人公です。なかなか大変な人だったらしく、ミツエさんは苦労を重ねたようです。その「父ちゃん」も酒を止めてからは好々爺となり10年前に他界し、時折ミツエさんの元を訪れます。
 映画もそうでしたが、漫画も全編長崎弁です。方言の持つ素朴な味わいがいいですね。標準語だとこうはいきません。亡くなった人と話す言葉も、標準語だったら怪談になってしまいそうです。
 この狂気というか怪談を、漫画と長崎弁で包むとソフトで口当たりのいいファンタジーとなります。介護の現場はそんな甘いものではないと言うことも可能ですが、認知症の母親を天使のように描くことによって自らを支えてきた作者を見るべきでしょう。たぶん、それがこの漫画が支持され、TVドラマや映画となった理由だと思われます。

 高齢化社会の今、「介護」は誰にでも訪れる深刻な問題です。「人生の重荷を降ろした笑顔」に出会えるようになりたいものです、介護する側になってもされる側になっても。
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