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映画 ビルマの竪琴(1956日) [日記(2016)]

ビルマの竪琴 (新潮文庫)日活100周年邦画クラシック GREAT20 ビルマの竪琴 HDリマスター版 [DVD]
 1985年のリメイクではなくオリジナルの方です。
 竹山道雄の原作は現在どれほど読まれているのかは知りませんが、ン十年前、小学生の頃読んだ記憶があります(おそらくジュヴナイルで)。amazonを見ると新潮文庫文庫にありますから、ヒューマニズムに溢れた戦争文学として今でも読み継がれているのでしょう。

 太平洋戦争のビルマ(ミャンマー)といえば、インパール作戦(1944)と日本兵の屍が累々と横たわるという「白骨街道」を連想します。主人公の水島上等兵(安井昌二)が、屍を埋葬するため僧侶となってビルマに留まる背景には、この「白骨街道」があると思われます。

 この映画の上手いところは、井上(三國連太郎)隊が歌う唱歌です。郷愁を誘う歌が日本人捕虜によって歌われ、「埴生の宿(イングランド)」「庭の千種(アイルランド)」の外国の民謡によって英軍との交歓が描かれます。対峙する日本軍と英軍が「埴生の宿」を合唱することなどあり得ないでしょうが、歌の持つ力は絶大で抵抗なく受け入れてしまいます。

 もうひとつ。水島上等兵の失踪の謎です。水島は生存しているのか?、生きているなら何故水島は帰ってこないのか?、この謎が徐々に明らかにされる心地良さです。この謎の解明にインコが一役買う話も良くできています。捕虜の井上隊と僧となった水島は直接話すことは出来ず、インコが「ミズシマ、イッショニ日本ニカエロウ」と語り「ジブンハマダ日本ニカエルワケニハイカナイ」と返します。

 さらに、帰りたいが帰れないという水島の心情です。小説が執筆されたのは、敗戦からわずか2年後の1947年。シベリア抑留の復員が始まった年であり、未だ多くの日本人捕虜が外地にあった頃です。まして遺骨の収集など思いも及ばなかった時期であり、外地に置き去りにされた屍を、帰国もせず独力で弔う水島上等兵の行為が、日本人の心を揺さぶったのでしょう。

 あり得ない話として切って捨ててしまってもいいのですが、70年にわたって読み継がれ、映画化されリメイクされるのですから、日本人の琴線に触れる力を持った「ドラマ」なのでしょう。

監督:市川崑
原作:竹山道雄
出演:三國連太郎 安井昌二

タグ:BSシネマ
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