映画 櫂(1985東映) [日記(2016)]
原作は宮尾登美子の名作『櫂』。小説『櫂』は、大正初期の高知を舞台に、女衒(芸妓娼妓紹介業)を夫に持った喜和の「女の一生」の物語です。小説は、土佐の風土を舞台に、喜和と、夫・岩伍が義太夫語りの女に生ませた綾子との情愛を中心に、家庭を顧みない岩伍、岩伍が次々に連れてくる使用人、養女、意のままに育たぬふたりの息子となさぬ子の綾子、これらの人々と喜和との間に生まれる緊張した人間関係を女の目線で描いたものです。
岩伍に緒形拳、喜和に十朱幸代。 緒形拳は『陽暉楼』でも 女衒を演じていますからハマリ役です。岩伍の女出入りに翻弄され、岩伍と巴吉との娘・綾子を押し付けられ、綾子と深い絆で結ばれてゆく「青竹が着物を着物を着たような」喜和の十朱幸代もいいですが、岩伍の存在感には圧倒されます。宮尾登美子と五社英雄が作り出した日本映画に希に見るキャラクターです。
出演:緒形拳 十朱幸代 真行寺君枝 名取裕子
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