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映画 しあわせの絵の具(2016加愛) [日記 (2020)]

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス [DVD]  原題、”Maudie”、主人公の名前です。洋画は、主人公の名前をタイトルに使うことが多いのですが、それでは何のこと分からないので気の利いた邦題が付けられます、『しあわせのXX』『人生のXX』などなど。最高に笑ったのが(観てませんが)『ゾンビマックス!怒りのデスゾンビ』で、感心したのがパリ警視庁の住所である「オルフェーヴル河岸36番地」が『あるいは裏切りという名の犬』(これオススメ)。まぁ『モード』より『しあわせの絵の具』の方が何となく分かるような気がしますが…。

 カナダの画家モード・ルイスの話です。身体障害者(若年性リュウマチ)のモードは兄に捨てられ、叔母の家の居候となります。この叔母は障害を持つモードに辛く当たり、彼女は自立するため仕事を探します。モードを演じるのが『シェイプ・オブ・ウォーター』で発話障害の女性を演じたサリー・ホーキンス。俳優の才能は、こうした役を演じる時に真価が決まります?。ドラマ性に乏しくストーリーで観客を引っ張って行けませんから、サリー・ホーキンスの演技が2時間の映画を引っ張ってゆきます。

 モードは、「家政婦求む、掃除用具持参のこと」という求人広告を見て、エヴェレット(イーサン・ホーク)の家の住み込み家政婦となります。エヴェレット障害を抱えるモードを一旦は断りますが、他に応募者は無く仕方なくモードを雇います。魚の行商人で時々薪を売り孤児院の雑用をするエヴェレットは、寡黙で無愛想。

「この家の優先順位は一番はオレで、二番は犬、三番がニワトリで最後がオマエだ」「何処で寝るの?」「屋根裏だ」「ベットが無いわ」「オマエは女王様か?、オレのベッドで雑魚寝だ」

 住居、食事付き、週25セントの家政婦生活が始まります。男と女が同じベッドで寝るのですから、当然の成り行きとなり、モードは結婚を迫ります。

「結婚は金がかかる」「披露宴なんかしないわ」「結婚届にも金が要る」

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 家政婦となってモードが始めたのは絵を描くこと。家の壁、板切れと手当たり次第に自己流の絵を描き始めます。反古紙に描いた絵が偶然5セントで売れ、エヴェレットは魚の行商のかたわら絵を売り、モードは画家となります。モードの絵は評判を呼び、TV局がふたりの生活を取材するほどに有名となります。モードの絵は、遠近法が全く考慮されず子供が描いたような絵で、素朴派の画家、パリの税関職員アンリ・ルソーを連想します。素朴さが受けたのでしょう。

 モードは1903年に生まれ1970年に亡くなっています。その間には大恐慌もあり、第二次世界大戦もあり、人類は月に足跡さえ残しています。そんな時代の喧騒とかかわりなく、カナダ東部の海辺の田舎で、電気も水道も無いわずか4m四方の小さな家で絵を描くモードと魚の行商をするエヴェレットの夫婦の映画です。この映画をふたりに見せれば、絵が描きたかったから描いただけだとモードは言い、絵が売れるから売っただけだとエヴェレットは言うでしょう。『しあわせの絵の具』というタイトルにはいささか抵抗があります、”Maudie”と言うしかないです。
 サリー・ホーキンスは一見の価値ありですが、オススメかというと、難しい。書き忘れましたが、イーサン・ホークもいいです。

監督:アシュリング・ウォルシュ
出演:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク

タグ:映画
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Lee

これ観てみたいです。北米にはグランマ・モーゼスなど女性の素朴派がいるのですね。和めそうな映画です。
by Lee (2020-11-07 11:04) 

べっちゃん

こういうドラマの乏しい映画はちょっと苦手です。サリー・ホーキンスは素晴らしいです。
by べっちゃん (2020-11-07 21:10) 

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