浅田次郎 「輪違屋糸里」 [日記(2005)]
浅田次郎 輪違屋糸里 ★★★
京洛に剣戟の響く新撰組を期待すると裏切られる。「女達の忠臣蔵」と云うTVドラマがあったが、これは「女達の新撰組」。土方を慕う輪違屋の糸里、桔梗屋の天神吉栄、新撰組が隊士が分宿する壬生郷士前川家のお勝、同八木家のおまさ、菱屋の妾で芹沢の女お梅など、女達から見た新撰組の物語、と云うより新撰組と戦う女の物語である。
そこには、「燃えよ剣」の近藤勇や「新撰組始末記」の土方歳三は在ず、時代や理想に絡め取られた男達が在る。中でも芹沢鴨の描き方が面白い。芹沢鴨の乱暴狼藉は、会津と仕組んだ長州追い落としの策略として描かれる。この新撰組第一の悪役にスポットを当てた最初の小説ではないかと思う。同じ新撰組を扱った「壬生義士伝」がるが、こちらの方が面白かった。「輪違屋糸里」の女性の京都弁より、「壬生義士伝」の東北弁が遙かにリアリティーがある。
2005-04-27 23:08
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