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梅田望夫 ウェブ進化論~本当の大変化はこれから始まる~ [日記(2007)]

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

  • 作者: 梅田 望夫
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/02/07
  • メディア: 新書

 IBMがThinkPadを(パソコン事業を)レノボに売り払ったとき、ThinkPadファンとしては結構ショックだった。IBMがソフトを中心とするソルーション企業として生き残ろうとしていることは知っていたが、栄光のブランドがたった2000億で売り払われたのである。何故IBMがThinkPadを売り払ったのか、これが本書のテーマでもある。答えは、パソコンは「こちら側」でありIBMは「あちら側」に行くために売り払った、である。
 では「こちら側」とは何であり「あちら側」とは何であるのか。「あちら側」とは、パソコンを境とした向こうの世界、googleを代表とするインターネットの世界である。「こちら側」は現実の世界、ITで云えばパソコンのハードでありそれを動かすOSである。同じハードとOSであっても、googleで動く30万台!のコンピュータと載っているlinuxは「あちら側」であるらしい。
◆オープンソース
 30万台!のコンピュータはひとまず置くとして、オープン系と称されるlinuxは、2百万人のサンデープログラマが参加してインターネット上で作られたOSである。「こちら側」でマイクロソフトが巨額の費用(人件費)をかけて作ったOSを、「あちら側」で無償のボランティアが衆知(集合知)をもって作ってしまったのである。それが今やビジネスの中核を担うOSとなってしまった。今でも増殖中である。
 同じように「あちら側」で不特定多数のボランティアが、エンサイクペディア・ブリタニカをはるかにしのぐ百科事典(ウィキペディア)を造っている。商業ベースの百科事典が専門家を集めて時間と労力と資力に依存するに比べ、ウィキペディアはアマチュア(プロも多いだろうが)の数(時間と労力)と知力で造られている。信頼性はどうかと云うと、執筆者数の数に淘汰され、ブリタニカとそう変わらないと云う。

◆ロングテール
 アマゾンもまた「あちら側」で起こったビジネスモデルである。いわゆるロングテール現象の典型的なビジネスモデルだ。売れる物を並べて売るという従来からのリテイルの世界を、インターネットが根底から覆してしまった。著者はロングテールを(売れない)「負け犬」と云う。アマゾンでは「負け犬」が利益を生み出しているのである。

◆総表現者社会
 アマゾンのロングテールは一冊々々の本であり、ひとりひとり著者がいる。本を執筆し出版(情報を発信)できるのはほんの一握りの人々であり、知的エリートの行為である。今、blogというメディアを獲得し、日本でも数百万の人々が表現者になりつつある。私を含め、玉石混淆のblogはただの「石」が多いが、情報量は膨大であり「玉」もまた多い。職業的表現者にはならなかったが、市井で沈黙してきた潜在的表現者が顕在化するとどんな「玉」が出現するのか。膨大で混沌の情報(blog)をロングテールとして「知の再編集」を行っているのがgoogleと云う訳である。このロングテールにindexを付け、言葉と言葉にリンクが張られたら何が生まれるのだろうか?

 地球周回軌道に巨大なデータベース衛星を3個打ち上げ、衛星同志が通信し思考することによって新しい知が創造される光景を、小松左京が「継ぐのは誰か」で描いた。まさにこの光景が全地球的規模で無数のコンピュータ同志で行われているのである。

恐竜の首で仕事をしてきた人間は退場せよと云うことか →☆☆☆☆☆


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