横山秀夫 半落ち [日記(2007)]
2003年の「このミス1位」の「半落ち」をやっと読んだ。発表から5年経つ。ハードカバー →文庫 →古本(200円)だからこんなものかと思う。
アルツハイマーの妻を扼殺した(嘱託殺人)実直な警察官の、事件後の空白の2日間を追ったミステリー。犯人ははっきりしているし動機も明確。犯行から自首までの「空白の2日間」の謎とその解明が本書の中核であり、「空白の2日間」が結末のカタストロフィーを用意する。
作者は、県警、地検、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官などの複眼でこの物語を書く。叩き上げの県警刑事部・指導官、元東京地検特捜部の地検検事、中途採用の全国紙地方支局員、地元のイソ弁など、それぞれが持つ人生の陰影とともに謎が解明されることで、物語に厚みを加え、何よりも最後の「落ち」の効果を際立たせようとする。「半落ち」は嘱託殺人を犯した元警察官・梶聡一郎の物語であるより、梶聡一郎に関わったこれら6人の物語である。
何となく浅田次郎を思わせる →☆☆☆★★
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