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京極夏彦 巷説百物語 [日記(2008)]

巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語 (角川文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫


 京極夏彦は『哄う伊右衛門』に次いで2冊目です。本書は7つの怪談を収録し、考物の百介(戯作者志望で、日本各地の怪異譚を収集しています)、傀儡師おぎん、事触れの治平、そして『哄う伊右衛門』に登場した小股潜りの又市(御行)が狂言廻しとして登場します。小豆洗い、白蔵主などの物の怪を登場させ、人の業、人の闇を炙り出し「事件」を解決してゆきます。又市が鈴を「りん」と鳴らし
「御行、奉為(したてまつる)」
と言うわけですから、コレはもう怪談版『必殺仕掛け人(仕事人)』ですね。

 なかでも、淡路島の人形浄瑠璃と阿波(香川県)特産?の狸をネタにした『芝右衛門狸』は傑作です→ここからややネタバレです^^;。阿波の狸と言えば、アニメの『平成狸合戦?』でたしか阿波の狸合戦が登場したような気がします。浄瑠璃の芝居小屋で行方不明となり、惨殺死体で発見された子供の敵を討つために、又市、おぎん、百介、治平が阿波の狸伝説に則って仕掛けます。殺人犯を狸に擬し、犬に狸を殺させる(犬狸の仲?)トリックで仇を討ち果たします。最後にタネ明かしがあるわけですが、読む方も何処までが怪異譚で、何処からが『仕掛け』なのか分からず、作者の『仕掛けに』陥ってしまいます。この辺りの呼吸(描きっぷり)は見事と言う他はありません。
本書には『前巷説百物語』、『後巷説百物語』の前編後編があり、まだまだ楽しめそうです。
京極夏彦に騙されてみよう → ☆☆☆☆
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