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ブレードランナー 1982年 米 [日記(2008)]


ディレクターズカット ブレードランナー 最終版

ディレクターズカット ブレードランナー 最終版

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD


 監督が『エイリアン』や『グラディエーター』のリドリー・スコット、主演がハリソン・フォードであるにもかかわらず全くヒットしなかった映画です。一部の熱烈な支持によってSF映画の名作と云われているらしいので観ましたが、一般受けしないのも道理です。アンドロイド(映画での名称はレプリカント)が出てきて車が空を飛びますからSF映画なんでしょうが、中身は一見ハードボイルド風アクション映画。ストーリーは単純で、宇宙の辺境で働かされている6人のアンドロイドと、地球に密航した彼らを狩る『ブレードランナー』のデッカードの物語です。何が支持されているのかと云うと、ロサンゼルスを思わせるチャイナタウンの退廃をバックに、寿命が4年にプログラムされたアンドロイドの『切なさ』と、彼らを追うデッカードの虚無感が入り交じった独特の映像の様です。15インチのパソコン画面でこの映像美を云々するわけのもいきませんが、この「らしくない」近未来都市の映像は秀逸です。たとえば、ハリソン・フォードが屋台で「うどん」を食うのですから笑ってしまいます(このうどん屋の主人がユニーク)。これらの映像から宇宙に進出している人類を思い描くことはとてもできません。 主題は、アンドロイドの創造主・人間への反乱でしょうね。人間が出来ない危険な作業をさせるために道具として作られ、他人の記憶を移植され寿命を4年にプログラムされたアンドロイドが、その存在に疑問を抱き人間同様の尊厳を取り戻すために反乱を起こすわけです。穿って見れば、創造主・神に対する人間の反乱が重ねられているのでしょうか。
 アンドロイド(ロイ・バッティ)と彼らを狩る人間(デッカード)の最後の戦いで、死期を悟ったロイ・バッティは追い詰めたデッカードを殺さずに助けてしまいます。このエピソードの前に、デッカードがロイ・バッティの恋人のアンドロイドを惨殺する場面、死んだ恋人にロイ・バッティにキスする場面を置き、エピソードの意味を強調しています。『偽』人間アンドロイドが人間(人間以上)に昇華したということでしょう。ロイ・バッティが白い鳩を持って戦い、彼の死後白い鳩が飛び立つ場面も(クサイ演出だと云えばいえますが)象徴的です。

降りしきる雨の中で、バッティは助けたデッカードにこう云います

『おれは、お前ら人間には信じられぬものを見てきた。オリオン座の近くで燃えた宇宙船や、タンホイザー・ゲートのオーロラ、そういう思い出もやがて消える。時が来れば-涙の様に雨のように、その時が来た』

ニッタと笑って事切れます。カッコイイです。
 デッカードと彼が愛するようになったレイチェルがエレベーターに消えるエンディングは切ないですね。何故ならレイチェルは寿命4年のアンドロイドだからです。デッカードはアンドロイドであるいう解釈があるそうですが、アンドロイドvs.創造主・人間、人間vs.創造主・神の構図、ロイ・バッティとデッカードとの対比、デッカードとレイチェルのラブストーリーを考えると、私はデッカード人間説を採ります。

映画として楽しめるか、と云うと正直?です。映像、ストーリーとも暗いです、出口が在るようで無い。レイチェルを演じるショーン・ヤングは綺麗で『はかない』です、これは見どころ。
原作はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』です。

監督:リドリー・スコット
音楽:ヴァンゲリス
キャスト
デッカード:ハリソン・フォード
ロイ・バッティ:ルトガー・ハウアー
レイチェル:ショーン・ヤング
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コメント 4

NO NAME

原作がエンターテインメンととゆうよりアート(作品)ですから
by NO NAME (2009-01-24 01:45) 

べっちゃん

原作は読みました。アートですか・・・。
by べっちゃん (2009-01-24 11:41) 

ハーポ

ファイナル・カット版が出ましたね。ほとんど最終版とは変わらない印象でした。
中2の時に観たナレーション付き版も好きです。
近未来のハードボイルドといった印象でした。
by ハーポ (2009-12-20 00:06) 

NO NAME

15インチの画面じゃブレードランナーの細部を見れないでしょう。
もうちょっとちゃんとした画面で見るべき映画です。
たぶん、いろいろ見落としてると思いますよ。
いつかもう一度見た時、気づき始めると思います。
by NO NAME (2010-04-11 08:59) 

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