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読書 マイクル・コナリー わが心臓の痛み [日記(2009)]

わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)

わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)

  • 作者: マイクル コナリー
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 文庫
 映画を見たこともあって、『ツン読』から取り出して読んでみました。原題は“Blood Wrok”。本文で、FBIでは連続殺人事件の捜査担当者は自分達の仕事を『血の任務(Blood Wrok)』と呼んでいる、と書いています。邦題『わが心臓の痛み』とはうまく付けたものだと思います。

 映画もまぁまぁ面白かったのですが、結末が分かっていても原作は面白く、数々のミステリーを送り出してきたコナリーならではです。コナリーと言えばボッシュ・シリーズですが、こちらはボッシュの出てこないノン・シリーズです。主人公は心臓移植を受けた元FBI心理分析官マッケレイブ。ストーリーはこの元FBI捜査官が心臓のドナーに係わる殺人事の犯人を追うという着想が意表を突きます。臓器移植は拒絶反応の問題で、血液型の一致などが重要なファクターですが、この血の問題を扱っているので“Blood Wrok”なのです。

 本筋はもちろん、ちょっとしたエピソードも見逃せません。FBIは連邦捜査局の略称ですが、複数の州にまたがった事件を扱う機関で、ロスとかNYで起こる事件は市警が、郡部で起こる事件は保安官事務所が扱います。要請があったり、FBIのお節介で市警や保安官事務所と連携するようですが、この縄張り争いの話しも結構リアルで面白いです。
 ミステリーではこの心理分析官がよく登場しますが、元心理分析官のイメージはマッケレイブと保安官事務所の刑事ジェイが知り合う元となった『墓場男』事件で要領よく説明されており、ナルホドと思います。
 マッケレイブとロス市警のアラゴンが初めて会うシーンは参考になります。マッケレイブはアラゴンの左の位置を取って座ります。この理由が面白いです。

 話しをする相手を自分の右側に座らせたかった。・・・話しをする相手を自分の右側に置くこと。つまり、相手は、左側からこちらを見、批判力と判断力の劣る側の脳を使うことになる。

 FBIで習う催眠と尋問のテクニックだそうです。今度から私も使ってみます。この催眠術も出て来ます。事件の目撃者をマッケレイブ自身が催眠術にかけて記憶を引き出そうとします。ビデオの再生、ストップ、スローモーションの要領でやるのですが、この描写はリアルです(本当かどうかは別)。

 と、まぁいろいろ楽しめます。

 マイクル・コナリーですが、今年の週刊文春のミステリー・ベスト10の第9位に『リンカーン弁護士』が入っています。なかなか頑張っているようです。



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