映画 アメリ(2001仏) [日記(2010)]
原題:Le Fabuleux Destin d'Amelie Poulain (アメリ・プーランの素晴らしい運命)
いかにもフランス映画らしい映画です。
モンマルトルのカフェに勤めるアメリ・プーランの恋と日常を、ファンタジックでユーモラスに描いています。アメリが周りの人々を幸せにし自分自身も恋をつかみ幸せになるという話しです。
アメリは、病気で学校にも行けず自宅で学習する子供時代時代を送ったこともあり、他人との関係を築くのに不器用な、空想癖のある23歳の女性です。例えば、こんなふうに説明されています。アメリが誰かの葬儀をTVニュースで見るシーンです、
売れ残りの女王という別名を持つアメリ・プーラン。・・・彼女は細やかな感受性の持ち主でした。まるでドンキホーテの様に、人生の苦難という風車に苦難を顧みず立ち向かったのです、云々。
と云う具合に亡くなった人に自分を同重ね涙を流します。
こんなアメリが、アパートの部屋で40年前に少年が隠した《宝物》の入った箱を見つけたことから、人生が変わり始めます。
この宝物を持ち主に返すことで、彼女は《世界と調和》し徐々に孤独から解放されることとなります。これを機に、アメリは次々と周りの人々に《密かな》お節介をやきはじめます。この《密かな》というところがアメリらしいところでしょう。
例えば、近所の八百屋の主人が店員に辛く当たるの見て、この店員に代わって《密かに》主人を懲らしめたり(笑えます)、ひきこもりの父親を再び外の世界に引き出そうと奇策を弄したり(これも笑えます)、アパートの管理人に夫の手紙を天国から配達したり、カフェの同僚と常連客の恋のキューピッドを勤めたり、こうしたエピソードのひとつひとつがユーモラスで少し哀しく心温まるものです。
そして今度はアメリ自身が恋に陥ります。内気なアメリの恋の告白には笑ってしまいます。
世界を旅し記念写真を送ってくる人形、ルノワール『舟遊びする人々の昼食』など小道具もなかなか凝っています。
フランス映画ですからエスプリにあふれた会話もあります。たとえば、八百屋の主人に投げかけるパンチの効いた一言、
街の排水溝には芝居のプロンプターが隠れている。気の弱い人が言葉につまるとセリフを教えてくれる。
『コリニョンさん、あなたは野菜以下ね、少なくとも野菜には芯(ハート)があるもの』
排水溝のプロンプターがアメリに教えるのですから、笑います。というぐあいに、映画全体がオシャレでユーモアとペーソスに溢れています。
映画に登場するヘンな人々をご紹介します。以下ネタバレです。
●アメリの父
元医者で、妻(アメリの母)を亡くし隠遁生活。人生に目的を失い自宅に引きこもりがち。庭に妻の廟を作り、ドワーフ(人形)を飾っている。
●カフェの女主人シュザンヌ
元サーカスの曲馬乗り。空中ブランコの恋人に別れ話を切り出され、馬から落ちてビッコとなった。
●アメリの同僚ジョルジェット
病気が好きで薬を常用。アメリのたくらみでジョゼフと恋に落ちる。
●アメリの同僚ジーナ
お祖母さんの影響で、店の常連にマッサージをしている。ジョゼフのかつての恋人。
●カフェの常連ジョゼフ
はっきり言ってストーカー。ジーナが誰と付き合っているか調べに毎日カフェに現れる。アメリのたくらみでジョルジェットと恋に落ちる。
●カフェの常連、売れない小説家イポリト
出版社に原稿を持ち込み、30回断られた経験を持つ。どうもこの映画のラストでは売れたかも?(売れそうな予感)。
●スチュワーデスのフィロメーヌ
アメリの父の《ドワーフ》を世界中に旅をさせ、彼女自身も白雪姫になれたらしい。
●アパートの管理人マドレーヌ
夫が会社の金を使い込み恋人と南米に駆け落ちし、交通事故で死亡。夫のラブレターを思い出としている。アメリのたくらみで、天国の夫からラブレターが届く。
●八百屋の店員リュシアン
いつも主人にいじめられているグズだが心優しい青年。
●八百屋の主人コリニョン
店員リュシアンにつらく当たるが、気のいい八百屋。ジュリアンに代わってアメリに仕返しをされる。
●アパートに住人で画家レイモン(別名ガラス男)
骨がもろくなり(と信じ)家具に布を捲いて暮らし、20年間部屋を一歩も出たことがない。20年間、ルノワールを1年に1枚模写している。アメリと親しくなり、アメリを勇気づける。
●アメリの部屋の40年前の住人ブルトドー
アメリの部屋の40年前の住人。一人娘と不和となり、孫とも会えず孤独な日々を送っているが、アメリから40年前の宝物を贈られたことで娘と仲直りする。
●ポルノショップの店員ニノ
捨てられたスピード証明写真のコレクターというマイナーな青年。アメリが一目惚れする。
●謎の男
4カ所のスピード証明写真のBOXで、それぞれ3回写真を撮った謎のスキンヘッド。
小道具1 小道具2
この少女(赤い丸印)が話題となります ニノが拾った怪傑ゾロ(アメリ)の写真
アメリを演じるオドレイ・トトゥですが、『ダ・ヴィンチ・コード』のソフィー・ヌヴーです。髪型が違うので全く気付きませんでした。ブルトドーを探すエピソードで、画家のレイモンが言います『ブルドトーじゃない、ブル《ト》ドー。トトゥの《ト》』これは彼女の本名オドレイ・トトゥにひっかけたんですねぇ。
もうひとり、リュック・ベッソンの『アンジェラ』のジャメル・ドゥブーズが出ています。特異な風貌と隻腕で、これは分かりました。
ひさびさにフランス映画を堪能しました、これはお薦めです(^^)/。
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演者:
オドレイ・トトゥ
マチュー・カソヴィッツ
ジャメル・ドゥブーズ
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