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映画 ゲッタウェイ(1972米) [日記(2010)]

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 get away ですから 逃亡。銀行強盗を働いたスティーブ・マックィーン、アリ・マッグローの夫婦が、警察やギャング仲間に追われひたすら逃げます。このならず者が逃げるパターンは、『俺たちに明日はない』(1967)、『ワイルドバンチ』(1969)、『明日に向って撃て!』(1969)など、この時代のアメリカン・ニュー・シネマの常道で、『ゲッタウェイ』は1972年公開でサム・ペキンパー監督ですが、この範疇に入っていません。キャロルとドクはボニーとクライドではありません。

 ストーリーは銀行強盗ドクとキャロルの逃亡劇なのですが、サム・ペキンパーですから、ショットガンをぶっ放す派手なアクション・シーンだけではなく、ストーリーにもうひとヒネリ効いています。

 ひとつはドクとキャロルが夫婦であること。強盗の後、ドクは自分を刑務所から出しこの計画を立案したベイノンと、奪った金を山分けをするシーンがあります。このシーンで、妻のキャロルの銃はドクを狙っているんですねぇ、エッ。でキャロルはベニヨンを射殺します、もうひとつエッです。実はドクが刑務所に入っている間、キャロルとベイノンは(ムリヤリの)不倫関係にあり、キャロルは土壇場でドクを選択したわけです。このギクシャクした関係は、当然以後のふたりの逃亡について回ります。

 もうひとつはドクを追うルディです。負傷したルディは運転手代わりに夫婦を拉致し、夫の前でその妻と関係を結びます。夫の方は、ルディと痴態を繰りひろげる妻に絶望して自殺します。このエピソードはストーリーとは直接関係はないのですが、ドクとキャロルを映す鏡となっています。そしてこのシーンです、

PDVD_006.jpg PDVD_007.jpg

 ふたりは、逃げ込んだゴミ箱からゴミ回収車で運ばれ、ゴミ捨て場に捨てられます。以前、ドクから別れ話を切り出されてキャロルは拒否しますが、このゴミ捨て場で今度はキャロルが別れ話を持ち出し、ドクは『俺も辛いんだ』みたいな軟弱なこと言って、ふたりの関係は修復されます。そして右の画像となります。ゴミ収集車をインキュベーターとして、ドクとキャロルは生まれ変わるんですねぇ。サム・ペキンパーお得意の超スローモーションは、なんとこのシーンで活用されています!

 このシーンの少し前、列車で逃げる途中で、キャロルは不注意から奪った金の入ったバッグを盗まれます。ドクが取り戻す間、キャロルは駅のベンチでずっと待っています。このエピソードも、ゴミ捨て場のドクとキャロルを支える重要なエピソードでしょう。

 最後に、老人のトラックに同乗してメキシコへ逃げますが、車中の会話です、

  ひとつ聞いていいか?・・・sure
  あんらた夫婦かね?・・・yes
  何よりだ
  近ごろの世の中ってのは 乱れとるからな
  手を携えて生きてこそだ

 サム・ペキンパーがマックィーンで撮った『ゲッタウェイ』は夫婦の再生の物語だったんですか!?。スティーブ・マックィーンとアリ・マッグローはこの映画の競演がもとで結婚しますが、6年しか保たなかったのは皮肉ですね。

監督:サム・ペキンパー
出演:スティーブ・マックィーン アリ・マッグロー

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