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映画 鳥(1963米) [日記(2010)]

鳥【ユニバーサル・セレクション1500円キャンペーン/2009年第5弾:初回生産限定】 [DVD] スタートはラブコメディめいています。九官鳥を買いに来たメラニー(ティッピ・ヘドレン)と、これも妹のプレゼントにラブバードを買いに来たブレナー(ロッド・テイラー)がペットショップで出会います。先に来ていたメラニーが店員のふりをしてブレナーをからかい、ブレナーは彼女が何者か知っていて反対にメラニーは恥をかくことになります。たわいないオープニングで、1960年代の映画では男女の出会いもこうなるんですね。

 なんだかんだあって、メラニーはラブバードを持参してブレナーを彼の郷里へ訪ねます。この海辺の田舎町が映画の舞台となります。ブレナーはサンフランシスコの弁護士ですが、週末は律儀に母親と妹のいるこの田舎町に帰ります。
 『母親』です、この辺り『サイコ』のアンソニー・パーキンスを思い出します。ブレナーは別にマザコンではないのですが、『鳥』ではこのブレナーの母親(ジェシカ・タンディ)がちょっとミステリアスです。子離れができない神経質な母親で、訪ねてきたメラニーも当然歓迎されません。
 もうひとり、ブレナーの妹が通う小学校の教師アニー(スザンヌ・プレシェット)の存在です。アニーとブレナーはかつて恋人同士で、ブレナーの母親が障害となってうまくゆかなかった過去があります。友達関係を失いたくないと、この田舎町に住み着いています。
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 『鳥』は、鳥が人間を襲うパニック映画なんですが、背景にはブレナーと彼をめぐる三人の女性の物語があります。
 この田舎町を訪れたメラニーにカモメが襲いかかり、この事件がきっかけとなって鳥が次々と人間を襲いだします。鳥の襲撃によってレストランに閉じこめられたシーンで、メラニーはこの事件の元凶であり魔女だと罵られます。
 つまりですね、ブレナーの母親の深層にある息子への独占欲(歪んだ愛とも云う
(^^;))がカモメの形をとって息子に近づくメラニーを襲ったわけです。この不可思議な現象が鳥『類』に伝染しモンスターとなって人間を襲いだした(笑、これがヒッチコックが仕掛けたサスペンスではないかと思います。

 映画はブレナーと母親、妹、メラニーの4人が車で町を脱出するシーンで終わっています。その終末感ただよう映像からは、4人が脱出できたとはとうてい思えません。さらなる悲劇の予感で映画は終わっています。
 ここによると
ヒッチコックは「サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ(金門橋)が鳥達によって占拠される」というラストシーンを考案、予算不足のため、特撮を多用して撮影された。
ヒッチコックは、鳥が人間を襲う事件が田舎町から100km離れたサンフランシスコまで拡大することを想定していたことになります。4人の運命は風前の灯火ですね。

 ヒッチコックは人間の心にひそむ魔をサスペンスという形で映像化してきた人です。鳥が人間を襲うという単なるパニック映画など作るわけがないと思うのですが、如何なものでしょう。

原作が『レベッカ』のデュ・モーリア、脚本が『87分署』のエバン・ハンター(エド・マクベイン)というのもくせものです。

監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:デュ・モーリア
脚本: エバン・ハンター
出演:ロッド・テイラー ティッピ・ヘドレン ジェシカ・タンディ スザンヌ・プレシェット

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コメント 4

syun

そんな人間関係の確執が潜んでいたとは。
4人で逃げるラストシーンの、本当の怖さが少し分かりました。
by syun (2010-12-24 16:29) 

べっちゃん

『ネタバレ映画館』をあまり信用しないで下さいね、妄想ですから。
by べっちゃん (2010-12-24 17:03) 

だいだらぼっち

いつもながらの慧眼に感服です。
by だいだらぼっち (2010-12-25 07:40) 

べっちゃん

ヒッチコックはマザコンの主人公が好きなようです。『フレンジー』の殺人犯も、その気がありそうです。この辺りは研究課題です(笑。
by べっちゃん (2010-12-25 11:06) 

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