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読書 浅田次郎 中原の虹(1) [日記(2011)]

中原の虹 第一巻 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』と読んできて『中原の虹』です。取り立てて読むつもりは無かったのですが、主人公が張作霖、舞台が『満州』ですから、満州フリークとしては読まないとダメだみたいなわけです。小説中、張作霖が部下を引きつれて東三省の政府軍に帰順した話しが出てきますから、1905年頃の満州が舞台となります。

 主人公の
李春雷は『蒼穹の昴』の主人公宦官・李春雲、その妹李玲玲の兄という設定です(占星術師・白太太も活躍)。『蒼穹の昴』が西太后や宦官の世界、戊戌の変法を描いて清朝の幕を引く小説なら、『中原の虹』は辛亥革命から中華民国の建国に至る動乱の時代に、東北の軍閥・奉天派を率いて中原に覇を建てようとした男達の物語です。

 物語は一千元壮士(千元で雇われる傭兵)の李春雷(架空の人物)を狂言回しに、ヒーロー張作霖、その子
張学良、八角台の豆腐屋『好大人』張景恵(後の満州国国務総理大臣)、『白猫』張作相(張作霖・奉天派の重鎮)、張作霖の四当家湯玉麟、馬賊の包頭馬占山(満州国軍政部総長、東北救国抗日聯軍)など満州の凍土を疾駆した錚々たる歴史上の『馬賊』が登場して、満州ファンの私としては、もう胸躍る幕開けです。
 張景恵が豆腐の屋台で大きな腹を突き出して李春雷と出会い、馬占山が15歳で別れた妻との馴れ初めを語るシーンなど、時間のはるか彼方から歴史上の人物が甦る様でなかなか、です。

臣、徐世昌。謹んで太后陛下にお伺い奉りまする
べつに謹まなくったっていいわよ。なあに?

 これ、東三省総督・徐世昌西太后の会話です。漢文調といいませんが、けっこう硬派な文体のなかで『なぁに?』ですから笑います。思わず田中裕子の顔が浮かびました。このふたりの会見に同席するのが、大総管太監(宦官の親玉)李春雲。徐世昌の口から張作霖の包頭・李春雷の名前が飛び出し、『蒼穹の昴』の連なる『中原の虹』が一気に展開します。

タグ:読書
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