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映画 ミックマック(2009仏) [日記(2011)]

ミックマック スペシャル・エディション [DVD] ジャン=ピエール・ジュネは、『デリカテッセン』『ロストチルドレン』『アメリ』『ロング・エンゲージメント』とどんどん分かりやすくなってます。分かりやすくなった代わりに、『デリカテッセン』の(ブラック)ユーモアや『ロストチルドレン』の(ダーク)ファンタジーの毒が薄くなって、ちょっとお子様ランチ風です。あえて言うと、これはジャン=ピエール・ジュネによる『七人の侍』『荒野の七人』『黄金の七人』ですね。

 事故で頭に銃弾が入ったままとなった男バジルの物語です。この事故でバジルは職も住いも失いホームレスとなります。バジルの父親は地雷によって命を落としていて、親子2代にわたって兵器によって人生を台無しにされたバジルは、武器商人に報復を決意します。このバジルに協力するのがプロフェッショナル?な七人。

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バジルとプロフェッショナルな6人         バジルと軟体人間

・ギロチン台から生還した男プラカール(塀の中
・料理の上手なお母さんタンプイユ(ごちそう
・計算の得意な女の子・数学娘
・人間砲弾として77年の世界記録を持つ男フラカス(残骸
・何時もタイプライターをたたいている元民俗学者で詩人
・ガラクタを材料にする発明家プチ・ピエール
・軟体人間の女性・野菜室

バジル+七人のプロフェッショナルによる抱腹絶倒の復讐劇が開始されます。

 この七人の結びつきが、いかにもジャン=ピエール・ジュネ。年齢も性別もバラバラな彼らが『家族』として廃品回収・修理を生業に廃品の山の中に住んでいます。プラカールは、落ちてきたギロチンが首の皮一枚で止まったために恩赦となった元犯罪者。タンプイユも、鏡の迷宮で行方不明となったふたりの娘を探している間にホームレスとなったという身の上。ゴミを回収・再生して暮らしている一見社会の落ちこぼれが、バジルの恨みを晴らすために武器商人に『仕掛け』ます。これって『必殺仕掛け人』じゃないですか!。その仕掛けがまたアナログで笑います。『スパイ大作戦』(ミッション:インポッシブル)のパロディーでまたまた笑わせてくれます。
 『アメリ』で、ヒロイン、アメリ・ブーランが周りの『いけ好かない奴』に怒りの鉄拳(いたずら)を振り下ろすエピソードがありましたが、『ミックマック』はその怒りの鉄拳をテーマにしています。
 バジルと七人のプロフェッショナルは『仕掛け』の最後で武器商人を晒し者にします。江戸時代であれば、裸にして木にでもくくりつけて高札で罪状を訴えるわけですが、なんと動画に撮ってyoutubeで公開します。なるほど、原題ならyoutubeですか、これは笑いました。

 というわけで、『ミックマック』はコメディーです。これを反戦映画と考えるのは買いかぶりで、ジャン=ピエール・ジュネの仕掛けた笑いの爆弾でしょう。ジャン=ピエール・ジュネの作品を追いかけてきた私には文句なく面白いのですが、初めての人でもけっこう笑えるのではないかと思います、おすすめの一品。次作は、もっとブラックなものを期待しています!

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アナログ 1                      アナログ 2

監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:ダニー・ブーン ドミニク・ピノン ヨランド・モロー

ジャン=ピエール・ジュネ作品
1991年 デリカテッセン・・・ドミニク・ピノン マリー=ロール・ドゥーニャ ジャン=クロード・ドレフュス
1995年 ロスト・チルドレン・・・ロン・パールマン ジュディット・ヴィッテ ドミニク・ピノン ジャン=クロード・ドレフュス
1997年 エイリアン4・・・シガニー・ウィーバー ウィノナ・ライダー ロン・パールマン ドミニク・ピノン
2001年 アメリ・・・オドレイ・トトゥ マチュー・カソヴィッツ ジャメル・ドゥブーズ
2004年 ロング・エンゲージメント・・・オドレイ・トトゥ ギャスパー・ウリエル ドミニク・ピノン ジョディ・フォスター
2009年 ミックマック ・・・ダニー・ブーン ドミニク・ピノン ヨランド・モロー

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