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映画  サンジャックへの道(2006仏) [日記(2011)]

サン・ジャックへの道 [DVD] 『サンジャックへの道』は、今も数多くの巡礼が旅する、1000年以上の歴史を持つ巡礼路で、フランスからピレネー山脈を越えスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの1500kmを指しています。この1500kmを徒歩で旅する8人の巡礼者とひとりのガイドの2ヶ月の旅を描いたロードムービーです。
ロードムービーというと、最近見た映画では『レインマン』『逃走迷路』『ハスラー2』『怒りの葡萄』がそうです。新作では、『ザ・ロード』『ザ・ウォーカー』もこの範疇に入ります。主人公(達)が、目的を持ってある場所からある場所へ移動(旅)するなかで、出会った人や体験が主人公(達)の人生に及ぼす影響の様なものを描いて、『そうでしょ?』と云うのがロードムービーです。

高校教師の長女クララ(マニュエル・ロビン)、どっかの会社の社長で長男ピエール(アルチュス・ド・パンゲルン)、飲んだくれの失業者次男クロード(ジャン=ピエール・ダルッサン)の三人は、母親を亡くし遺産相続をすることになります。遺言は、この仲の悪い三兄弟が一緒に1500kmのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を歩き通さない限り相続権を認めないという奇妙なもの。それにしても人の悪い母親ですね。それぞれの事情で三人は巡礼のツアーに参加します。

<< 巡礼参加者 >>
クララ:高校教師。夫は失業し、クララの収入で夫と二人の子どもの4人が暮らしている。ローンも残っていて生活は楽ではなく遺産を相続するために巡礼に参加。
ピエール:大会社?の社長で家庭も顧みない仕事一筋人間。奥さんはアル中で自殺願望。クララに言わせると成功オタク。別に遺産などどうでもいいのでしょうが、三人一緒という条件に引きづられて参加。
クロード:一度も生業に付いたことがなく、アル中で文無し。当然離婚されているが、一人娘とは良好な関係にある。文無しですから当然参加。普通の服装で着替えも用意していません。洗ったパンツを木の棒に干して歩く辺りは最高のキャラクターです。
マチルド:抗ガン剤の副作用でスキンヘッドとなった頭をバンダナで包むオバサン。離婚して独身。
カミーユ:大学?の卒業記念に叔父さんにプレゼントされて参加。巡礼とは思っていなかった様です。
エルザ:カミーユの友人。裕福な家の娘。
ザイード:カミーユを追って巡礼に加わったアラブ移民の青年。
ラムジー:ザイードの従兄弟で、メッカ巡礼と偽ってザイードに連れ出されて参加。識字障害でフランス語の読み書きが出来ない。ザイードはこの巡礼でラムジーの識字障害を直すとか何とか言って、ラムジーの母親から巡礼の費用を出させた模様。
ギー:8人を案内する誠実なベテランガイド。途中で郷里に残した子どもが病気になり奥さんが浮気している、とパニくったりしますが、無事8人を目的地まで誘導します。

 この8人+ガイドがフランスのル・ピュイからスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500kmの徒歩旅行に旅立ちます。8人は8人なりのそれぞれの『事情』を抱えていて、それが映画に陰影を落とすわけですが、監督のコリーヌ・セローはユーモアたっぷりにカラリと描きそれがこの映画の魅力ともなっています。
 シュールで思わせぶりな映像、何より世界遺産でもある巡礼路の(暖色系のフィルターのかかった様な)風景が美しいです。巡礼の旅が終わり、当然に、険悪な三兄弟も仲直りし、それぞれがそれぞれのパートナーを見つけて日常に帰って行くわけですが、適度のエスプリが効いていて、なかなかいい映画です、お薦め。NHKのBSはこういう映画も放映してくれるので見逃せません。
 出演俳優には馴染みがありませんが、飲んだくれの失業者クロードを演じたジャン=ピエール・ダルッサンは『ロング・エンゲージメント』『画家と庭師とカンパーニュ』に出ていました。

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登場人物の心象風景 (1)              同(2)

監督:コリーヌ・セロー
出演:マニュエル・ロビン アルチュス・ド・パンゲルン ジャン=ピエール・ダルッサン パスカル・レジティミス 

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