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読書 浅田次郎 椿山課長の七日間 [日記(2011)]

椿山課長の七日間 (朝日文庫)

 過労で急死したサラリーマンが、あの世から期限付きでよみがえる浅田次郎一流のコメディです。上方落語「地獄八景亡者戯」に少し似ています。落語で言えば人情噺でしょう。

 デパートの婦人服売場課長を勤めるハゲでデブの椿山が過労で突然死します。気づけばあの世とこの世の境である中陰。亡者はこの中陰の役所で生前の罪を裁かれ、行き先が地獄と極楽に分かれるんですが、講習を受けて反省のボタンを押すと生前の罪が許されて極楽に行けるというまことに便利なシステムが採用されています。
 おまけに、生前にやり残したことがあり、それが重大であると認定されると7日の期限付きでこの世に戻ることが出来るというんです。何故7日かと言うと「初七日」から来ています、なるほど。


 「邪淫の罪」によって椿山は極楽に行けず講習を受けるはめとなります。職場の女性と結婚の意志も無く関係を結んだことが「邪淫の罪」と認定されたわけです。悔悛ボタンを押せば難なく極楽へ行けるわけですが、納得できない椿山はボタンを押さず再審を請求します。
 椿山はローンを背負って残された妻と幼い息子、認知症で入院している父親、し残した仕事、何より「邪淫の罪」の無実を晴らすためにこの世に舞い戻ります。この「黄泉かえり」も傑作で、必要なものが何でも出てくる鞄と中陰役所のコールセンターと繋がるケータイを持って黄泉かえるわけです。生前の姿でこの世に現れては「幽霊」と大騒ぎとなりますから、生前とは似ても似つかない姿に変えられ、

1) 初七日の12時?までにはあの世に帰る 
2) 正体を決して明かさない

3) 復讐はしない

のルールを守ること誓わされます。このルールを破ると「恐ろしい」結果となるらしいのですが、地獄行きなんでしょうか?。

この「黄泉かえり」は、椿山課長ひとりではなく、テキヤ親分武田、交通事故で死んだ雄一の三人。椿山はうら若き美女、武田は初老の知的な紳士、雄一はかわいい少女としてこの世に戻り、抱腹絶倒、やがて哀しき浅田節は相変わらず絶好調です。

 ちょっと疲れたオトーサンの緑陰図書にぴったりかもしれません。映画もあるようなので探して見ます。

P6190952.jpg
作中に出てくる「沙羅双樹」です


タグ:読書
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