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映画 ぼくのエリ 200歳の少女(2008スエーデン) [日記(2011)]

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]
 「モールス(Let the Right One In)」の映画化作品です。「モールス」の映画化は2008年のスェーデン版と、そのリメイクの2010年版があります。2年後にリメイクするほどですから、余程すごい原作なんだろうと読んだのですが、もうひとつノレませんでした。今回見たのは2008年スェーデン版です。映画は原作に比較的忠実に作られていて、映画ですから訴えかけて来るものがストレートで、原作より面白いです。

 以下ネタバレです。映画は、ヴァンパイアの少女エリ(リーナ・レアンデション)と人間の少年オスカー(コーレ・ヘーデブラント)のふれ合いを描いたラブストーリー?の趣です。喉を掻き切り、酸で顔を焼き、人が燃え上がり、クビが飛びますから間違いなくホラーです。ホラーですが映像は大変ソフトで、ホラー色を少なくして少年と吸血鬼のロマンスが前面に出るように工夫されています。

 エリにはホーカン(エリの父親ということになっている)という協力者がいて、エリに血を供給するため殺人を犯し、太陽の下で活動できないエリのため、街から街への移動にも手を貸しています。吸血鬼はこうした協力者を持たないと生きていけないわけです。この映画の主題は吸血鬼ではなく、吸血鬼に奉仕する協力者の物語です。ホーカンは血を得るための殺人に失敗し酸で顔を焼き、病院の窓から飛び降りて死んでしまいます(小説ではゾンビとなって活躍?します)。ホーカンの自殺や、エリ自身も血を吸うために殺人を犯し、女性を吸血鬼に変えるなど不可解な事件が続発し、正体がバレそうなこの街では最早暮らしてゆけません。至急、ホーカンの代替者を見つける必要に迫られています。この代替者こそがオスカーだったわけです。エリは

この町で死ぬか、ほかへ行って生き延びるか?

というメモをオスカーに残していますが、これは、私を愛しているなら協力者(宿主)となって私を他の街へつれて行けということを言っているんですね。
 ラストシーン、列車内でオスカーはトランクに隠れているエリと楽しそうにモールス信号で交信していますが、このシーンは、見事にエリに絡め獲られたオスカーの運命を暗示しているようです。エリよりもオスカーの方がはるかに早く歳をとります。50年後60年後のオスカーの運命こそ、ホーカンの運命そのもであるわけです。

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入ってもいい(Let the Right One In)」なんと恐ろしい言葉でしょう。

 主人公のオスカーが、ブロンドの長髪で殆ど少女と見間違う少年で、ヴァンパイアのエリは黒髪でちょっとゲルマン民族らしからぬ顔立ちです。吸血鬼の故郷トランシルバニアを彷彿とさせる(行ったこと無いですが)リーナ・レアンデションは雰囲気が出ています。映画の中で、エリは、女性でなくとも自分を愛せるかとオスカーに問い、性器の無い身体を見せています。エリに性別が無いように、その協力者オスカーの性別も定かでないという暗示かと思うのですが、どうなんでしょう。
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 原作の邦題「モールス」も映画のタイトル「ぼくのエリ 200歳の少女」も×です。

監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:コーレ・ヘーデブラント リーナ・レアンデション

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