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映画 クラッシュ(2004米) [日記(2012)]

クラッシュ [DVD]
 こういう映画は、本当のところは日本人には分からないと思います。アカデミー賞作品賞に惹かれて見ましたが、ピンときません。黒人、白人、ヒスパニック、中東、中国系と様々な人種の様々な階層が入れ替わり立ち代り現れ、怒ったり泣いたり嘆いたり...冒頭のシーンがラストシーンに回帰し、そういう(多民族国家、人種の坩堝の)アメリカを描きたかったんだろう、アメリカの一断面を切り取りたかったのだろう、ということは分かるんですがそれ以上は理解できません。

 同じテーマを扱った「扉をたたく人」は、9.11以降に臆病となった米国が、人種的偏見を克服して本来の米国を取り戻してゆく物語で、ヒューマニズムを正面に据えたので分かり易い映画でした。一方、「クラッシュ」の様にいくつかのエピソードを重ね、判断はあなたですよ、と観客を突き放す映画は始末が悪いです。

【黒人】
 ロス市警の刑事であるグラハム(ドン・チードル)は、母親と弟を(心理的に)捨てることで現在の地位と生活を手に入れたのでしょう。病気の母親と不良の弟を古傷の様に気にしています。弟のピーターは、友人のアンソニーと自動車を強奪する典型的な落ちこぼれ黒人。アンソニーはあてどのない怒りを、白人から車を盗むという行為で解消しています。
 裕福なTVディレクターのキャメロンは、妻が白人警官(ライアン)からセクハラを受けるが反撃でず、妻のクリスティンは不甲斐ない夫をなじり、ふたりの関係は悪化します。

【白人】
 ロス市警の警官、ライアン(マット・ディロン)は、父親の会社が黒人と係ったことで倒産したために人種差別主義者。ライアンとコンビを組むハンセンは、ライアンの偏見に我慢ができず異動を希望しています。
 ロサンゼルスの地方検事リックは、黒人の二人組(
ピーターとアンソニー)に車を強奪されますが、選挙対策上人種的偏見を持っていないかの如くに振る舞っています。事件後、妻のジーン(サンドラ・ブロック)は黒人に対する偏見がつのるようになります。

【ヒスパニック 他】
 ヒスパニックの錠前屋のダニエルは、スキンヘッドでタトゥーがあるためこれも偏見に晒されています?。
 小売店を営むペルシャ人のファハドは、アラブ人と間違えられることで不満を募らせています。店の錠前の修理をダニエルに頼むが足元を見られていると勘違いし、修理は不完全のまま終わり、強盗に入られてしまいます。

 黒人が白人の高級車を強奪し、白人の警官は裕福な黒人女性にセクハラし、ペルシャ人はヒスパニックに銃を向け、襲われると勘違いした白人は黒人を射殺。人種と人種が誤解に基づいて行動し不幸を積み重ねる ⇒ 観客のあんたはどうよ?、という映画なんでしょうか。
 一方で、人種差別主義の白人が、セクハラした当の黒人女性の命を救い、階段から落ちた女主人をヒスパニックのメイドが助け、ヒスパニックに向けられたペルシャ人の銃は空砲のため悲劇は回避されます。「禍福は糾える縄の如し」とでも云うのでしょうか?。ダニエルの娘が語る「透明のマント」は感動的です(見た人だけが分かります)。透明のマント」に未来が託されているのかも知れません。
 
 私には、この映画は分かりません。 

監督・製作・脚本:ポール・ハギス
出演:ドン・チードル マット・ディロン サンドラ・ブロック

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コメント 3

ktm

この映画、
海外出張の機内で見たのですけど、
理解できたのは、今もってアメリカは多民族社会だし、偏見も差別も普通にあるっていう事です。
アメリカだけでなく、アジアでの仕事が増えるにつけ、国民性の違いは距離以上に大きいと感じる事が多いです。

by ktm (2012-04-22 11:25) 

べっちゃん

未だ見ておられなかったら、「扉をたたく人」をお薦めします。
by べっちゃん (2012-04-22 13:17) 

ktm

了解です。

今度、、「扉をたたく人」も見てみます。

by ktm (2012-04-22 14:27) 

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