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BSシネマ ダンケルク(1964仏伊) [日記(2012)]

ダンケルク [DVD]
 原題は"WEEK-END A ZUYDCOOTE"。英仏軍合わせて34万人がフランス・ダンケルクからドーバー海峡を渡ってイギリスに撤退した「ダンケルクの撤退」を舞台にしています。派手な戦闘を期待すると、当てが外れます。砲弾が炸裂し戦闘機の機関銃が火を噴きますから、まぁそれなりの戦争映画ではありますが、どちらかと云うと撤退するためにダンケルクに集結した兵士たちの人間ドラマです。

 フランスは1940年6月にパリを占領されナチス・ドイツに降伏しています。この映画の舞台となったダンケルク撤退の5月には、フランス軍はほぼ壊滅状態だったのでしょう。ダンケルクで、部隊で行動するイギリス軍は未だ軍隊として統率が取れているようですが、フランス軍はどうも軍隊の形をとどめていないようです。敗走兵がイギリスに逃れるためにダンケルクに集まってきた、そういう状態です。この映画の主人公ジュリアン(ジャン=ポール・ベルモンド)が原隊からはぐれてうろちょろしたり、アレクサンドル(フランソワ・ペリエ)が赤十字のマークの入った車をねぐらにワインを飲んで暢気な生活を送っているのは、そういう背景があってのことです。

 で映画はというと、ジュリアンがあちこち首を突っ込んで出会う事件、人間模様をオムニバス風に描いています。ジュリアンは運良く撤退のイギリス船に潜り込みますが、ドイツ軍の砲撃を受けて船はあえなく沈没。イギリス船で「地獄を見た」というジュリアンとやむを得ず少年兵を撃ち殺した従軍牧師が、神と信仰について論議したり、反戦映画と云うほどのことも無いのですがちょっと変わった戦争映画です。

 映画に花を添えるのがカトリーヌ・スパーク。戦禍を避けもしないでダンケルクの街で自分の家を守っている?勝気な娘ジャンヌを演じています。フランス兵にあわや乱暴されそうところをジュリアンに救われます。ジュリアンは乱暴するフランス兵をふたりまで射殺してジャンヌを救います。死体を表通り放り出しておくと軍が勝手に片付けてくれるらしいのですが、死体を引き取りに来た兵士とジュリアンの会話もいたってノンビリしたもの、"どうして死んだんだ"、"娘に乱暴を働いたので俺が殺した"、"とんでもない奴らだ"。壊滅状態の仏軍には、MPも軍法会議も無いようです。
 こういう状況でジュリアンが白馬の王子?に見えたジャンヌは、ジュリアンに恋をします。なんだかんだあってふたりは結ばれるわけです。このナンダカンダも割りと淡々としています、イタリアだとこうはいかないのでしょうね。戦禍にしろ恋愛にしろ、深刻ぶらないところがこの映画の持ち味です。

 安否を心配してジュリアンはジャンヌの家を訪ねます。ジャンヌは結婚を迫り(迫るというほどではないです)、ジュリアンはまぁ「責任をとる」といった感じで、7時に浜辺で待ち合わせる約束を交わします。
 約束の7時が来ますが、ジャンヌは現れません。折も折、ダンケルクの浜辺はドイツ軍の激しい爆撃にさらされ多くの兵士が殺されます。ジャンヌは約束を破ったのか?はたまた爆撃で命を落としたのか?見ている方がしびれを切らす頃、遠く砲煙の中から両手にトランクを提げた赤いドレスの女性が近づいてきます、ジャンヌです。このシュールなシーンで幕。
 
 で面白いかと云うと、戦争映画期待した向きには面白くないと思います。1940年、ドイツに席巻されたフランスにこういう一幕があったんだ、 と言う意味ではなかなか捨てがたい映画です。ちなみに、ディスカスにはありません、amazonでは結構な値段が付いています。
 
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド フランソワ・ペリエ カトリーヌ・スパーク

タグ:BSシネマ
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