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BSシネマ ナヴァロンの要塞(1961米) [日記(2013)]

ナバロンの要塞 [Blu-ray]
 原作は『女王陛下のユリシーズ』のアリステア・マクリーン。TVで何度も放映されていますから見られた方は多いと思います。イギリス軍の精鋭が、ドイツ軍のナバロン要塞にある巨砲を破壊する戦争ものです。グレゴリー・ペック、デヴィッド・ニーヴン、アンソニー・クイン、アンソニー・クエイルと一流の俳優を集めてアクションをやっても仕方がないので、ここはひとつ渋い演技とセリフで人間ドラマに仕上げようという脚本になっています(原作はどうか知りません)。

 第2次世界大戦のギリシャは、全土を枢軸国のドイツとイタリヤに占領され、それと戦うレジスタンス、レジスタンスを救けるイギリス軍という構図です。イギリス艦隊にとって脅威となるナバロン要塞の巨砲を黙らせようという計画が持ち上がります。この要塞は岸壁をくり抜いた要塞で、空爆で破壊出来ないため、精鋭チームを送り込んで内部から爆破するという作戦が立案されされます。
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キース・マロリー大尉 (レゴリー・ペック)
 ⇒登山の技術を買われ、作戦に参加。このチームの指揮官フランクリン少佐の友人。少佐が負傷した後はチームの指揮を取る。ギリシャ語とドイツ語が堪能。
ロイ・フランクリン少佐(アンソニー・クエイル)
 ⇒作戦の起案者でチームの指揮官。旧友のマロリーを呼び寄せる。ナバロンを目指す航海で負傷し、崖を登る途中で両足を骨折。作戦のブレーキになることを恐れ、自殺を図ろうとする。後ドイツ軍に捕まりますが、このフランクリンの負傷というのがこの映画のひとつのポイント。
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アンドレア・スタブロス ギリシャ軍大佐(アンソニー・クイン)
 ⇒マロリーとともにクレタ島でドイツ軍と戦った。マロリーのミスで妻と子供をドイツ軍に殺され、マロリーに恨みを抱き、いつか殺してやると言っている。
ミラー伍長(デヴィッド・ニーヴン)
 ⇒元大学教授で爆薬の専門家。将校になることを拒否して伍長に留まっている。戦争に批判的。
ブラウン一等兵(スタンリー・ベイカー)
 ⇒機械屋でナイフの名人。バルセロナの殺し屋の異名を持つが、殺人に嫌悪を抱いている。
パパディモス一等兵(ジェームズ・ダーレン)
 ⇒レジスタンスのマリア・パパディモスの弟。アメリカ留学から呼び戻された。殺人のプロ。

 「6人の侍」が嵐の海を乗りきり急峻な崖を登ってナバロンに上陸します。この嵐のシーンは迫力満点。横からホースとバケツで水かけているんでしょうが、とてもセットでの撮影とは思えません。崖の登攀も、マロリーがルートを拓いて、スタブロスが確保します。マロリーが墜落しスタブロスに助けられるあたりは、ふたりの因縁を知っている観客は手に汗を握ります。この6人に協力するレジスタンスに

マリア・パパディモス(イレーネ・パパス)
 ⇒パパディモス一等兵の姉。レジスタンスのリーダーだった父親が捕まったため、リーダーをつとめている。スタブロスに好意を抱いている(らしい)。
アンナ(ジア・スカラ)
 ⇒地元の学校教師。ドイツ軍に捕まり、拷問の末声を失うが、勇敢なレジスタンス兵士。背中には誰にも見せることのない拷問の傷跡があるらしい。
 
 このアンナとマリアは、『誰が為に鐘は鳴る』のイングリッド・バーグマンとカティナ・パクシノウそのまんま(笑。

 負傷したフランクリンを医者に診せるため、マリアの先導で6人は村へ潜入します。これも何処かで見たシーンなのですが、村の結婚式に紛れ込んだマロリー達とドイツ軍の落差がいいですね。村人のダンスの横をドイツ兵が隊列を組んで行進し、ナバロンの要塞を破壊しにきた連合軍のチームを結婚式の宴会に引き入れて匿います。

 8人はドイツ軍に捕まったり逃げ出したりの紆余曲折を経て、最後はめでたくナバロンの要塞を破壊して幕。基本は戦争映画ですが、ミステリ+人間ドラマの要素も取り入れています。 
 
《その1》 
 マロリーは、負傷して手術の必要のあるフランクリン少佐をドイツ軍に引き渡します。ドイツ軍に捕まれば当然治療してくれますが、その前にフランクリンを拷問、薬による自白によってナバロン上陸の目的を聞き出すはずです。マロリーはこの自白に目を付け、偽情報をフランクリンに吹き込み、ドイツ軍の攪乱を図ります。
 もうひとつは、いざ爆破という時になって信管が壊されていることが発覚します。7人(フランクリン少佐はドイツ軍に捕まっているので7人)の中にスパイが紛れ込んでいるわけです。
 このふたつは、伏線が弱いため(あることはあるのですが)いきなりの「種明かし」で、ちょっと唐突。もう少し「気を持たせる」伏線だったら言うことないのですが。
 このミステリに人間ドラマを盛り込んでいるのが、この映画の特徴といえば言えます。以下ネタバレです。
 
《その2》
 フランクリンに偽情報を与えてドイツ軍の混乱を狙った作戦を聞いて、ミラー伍長はマロリーに噛み付きます。ドイツ軍は自白剤を使わないかも知れない。フランクリンは自白する男ではない、拷問の末死ぬかも知れない、あんたは友人を利用したんだと怒りをぶっちまけます。マロリーは指揮官の苦しい決断を語り、昇進を拒み伍長に留まっているミラーを「逃げている」と非難します。ミラーは、フランクリン少佐と同じ立場に立たされたらあんたはどういう選択をする、そういう立場に立たせてやるとマロニーに毒づきます。
 この後、見張りに立ったマロニーの元をアンナが訪れ、言葉を失ったアンナに、先生(アンナは元教師)俺が間違っていたのかなぁと問いかけ、心が通じ合うシーンが挟まれます。これ伏線。

 この応酬を受けてスパイ疑惑が発覚するわけです。スパイは誰だ! ⇒何とヒロインかと思ったアンナがスパイだったのです。これを暴くのもミラー。ミラーはアンナの服をはぎ取り、背中に拷問の傷が無いことでアンナを追い詰め自白させます。アンナはドイツ軍に捕まり、慰安婦(いま話題の慰安婦)にすると脅されてスパイとなったようです。
 さて問題はこれからで、アンナを生かせておけばドイツ軍に計画がバレる。アンナの処置をどうするだとミラーはマロニーに決断を迫ります。つまり、マロニーはフランクリンの立場に立たされたわけで、マロニーはゆっくり拳銃を抜きます...
 
 というドラマもあって、なかなか楽しませてくれます。続編『ナバロン嵐』もあるようなので、機会があれば見てみたいです。それより、アリステア・マクリーンの『女王陛下のユリシーズ』か何かが本棚にあったはずなので、そちらが先か。
 
James_Darren_Lee_Meriwether_Robert_Colbert_Time_Tunnel_1966.JPG 『タイムトンネル』のジェームズ・ダーレン(左)
 
 パパディモス一等兵役のジェームズ・ダーレンは何処かで見たことあると思って調べてみると、1960年代のTV映画『タイムトンネル』にがレギュラー出演していました。
 でおすすめかというと、今となっては古いですが脚本がわりと良くできているので、見て損は無いかもしれません。戦争冒険活劇としてはジョン・スタージェスの『鷲は舞いおりた』の方がおすすめです。

監督:J・リー・トンプソン
出演:グレゴリー・ペック デヴィッド・ニーヴン アンソニー・クイン アンソニー・クエイル イレーネ・パパス

タグ:BSシネマ
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コメント 2

ktm

懐かしいですね。
子供の頃、父親に連れられて田舎町の映画館で見ました。
憶えているのは、最後、巨大な大砲が海に落ちていくところだけですね。
そうそう、アンナを撃つのが意外な人物だった事も。 ちょっとビックリでした。

by ktm (2013-07-13 12:08) 

べっちゃん

そうですね、以外な人物が撃ちます。原作はどうなのか?ですが、グレゴリー・ペックに撃たすわけにもいかないですから。
by べっちゃん (2013-07-13 13:59) 

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