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BSシネマ 危険がいっぱい(1964仏) [日記(2014)]

危険がいっぱい [DVD]
 ルネ・クレマン、アラン・ドロンのコンビでヒットした『太陽がいっぱい(1960)』の後ですから、似たような邦題を付けたのでしょう。原題は‘Les félins’、猫。ネコ?・・・見ると分かるのですが、確かにネコです。

 マルク(アラン・ドロン)は、アメリカでマフィアの親分の奥さんか情婦かに手を出し、嫉妬深いこの親分はマルクを殺すためにフランスまで殺し屋を差し向けます。舞台はニース(たぶん)、殺し屋に捕まってあわやというところで難を逃れ、マルクが逃げ込んだ先が教会の貧者救済施設。この施設で、マルクは収容者に食事を差し入れる篤志家のバーバラ(ローラ・アルブライト)とメリンダ(ジェーン・フォンダ)と出会います。バーバラは富豪の未亡人、メリンダはバーバラの(確か)従妹で彼女の使用人。マルクは運転手としてバーバラに雇われることになります。ローラ・アルブライトとジェーン・フォンダというふたりの美女と美男のアラン・ドロンですから、絵になります。
PDVD_000.JPG ←フランス映画!
 マルクは、アメリカでマフィアの情婦を籠絡したり、殺し屋と渡り合って逃れたり、バーバラの前で鮮やかにカードをさばいて見せたりと、かなりアブナイ男の様です。バーバラはというと、ボランティアに熱心な信心深い富豪の未亡人ということですが、マルクが疑問を持つように、あの若さと美貌でボランティアは?、何か裏があるはずだということです。メリンダはこれはもう一見天真爛漫。女ふたりだけの単調な生活に若い男が加わったわけですから、たちまちマルクに恋をしてしまいます。マルクは成熟したバーバラの色香に魅了され、若いメリンダを子供扱いして振り向こうともしません。このメリンダの天真爛漫が、実は重要な伏線です。美貌のバーバラに隠された顔はあるのか、この三人に何が起こり、どんな「危険」が訪れるのか?。

ここからネタバレです。 
 
 バーバラは、歳の離れた富豪の夫が事故で亡くなりその遺産を相続したのですが、実は、スキー教師と共謀して夫を殺したというわけです。そして、そのスキー教師ヴァンサンを、自宅の隠し部屋に2年間にわたって匿っています。画面にシャム猫?が何度も登場します。無聊をかこつヴァンサンは猫を飼い、これがタイトルの謂れでもあります。

 広い屋敷に使用人が従妹のメリンダだけというのは、そうしたわけがあったのです。メリンダは、ヴァンサンが匿われていることを知っています。メリンダは、バーバラは親切で服をくれるのヨとかマルクに言っていますが、弱みを握られメリンダの言いなりだと言うことです。バーバラの夫殺しについて、メリンダが知っていたかどうかは明らかにされていませんが、想像はついていたでしょう。

 バーバラとヴァンサンは外国に逃亡する計画を立て、そのパスポートを手に入れるためにヴァンサンと似た男、それも失踪しても誰も気にかけないような男を探していたのです。教会の慈善活動はその身代わり探しだったのです。マルクが殺し屋に捕まった時、殺し屋は財布を取り上げますがパスポートは返しています。身元がバレるパスポートを奪わないのは不思議だなと思っていたのは、こういうことです。また、マルクが運転手として雇われるためにバーバラの部屋を尋ねた時に、彼女はパスポートを取り上げますが、彼女の欲しかったのはパスポートだったのです。
 ヴァンサンがマルクとして出国するわけですから、マルクが生きていては困ります。従ってヴァンサンとバーバラの計画の中には、マルクの殺人も組み込まれています。

 殺し屋に追われるようなマルクですから、そうそうバーバラたちの思うようにはなりません。マルクは新聞社でバーバラの夫の事故死、ヴァンサンの失踪をつかみ、バーバラがヴァンサンを邸に匿っていることをつきとめます。バーバラはヴァンサンと南米に逃げるため、マルクに査証を取るように命じます。身に危険が迫ったことを知ったマルクは、バーバラを誘惑しヴァンサンに取って代わろうとします。バーバラと巨額の財産を手に入れようということです。

 ここからは殺し屋とメリンダが大活躍。メリンダは偽装電報を使い、バーバラの第三の男がいることを匂わせヴァンサンとバーバラの仲を裂き、マルクにバーバラを諦めさせようとします。この偽装が成功し、ヴァンサンはバーバラを殺し、アメリカからやってきた殺し屋がマルクトと間違えてヴァンサンを撃ち殺します。あれよあれよという展開です。

 マルクは、死体を隠すために車のトランクに詰めてメリンダと出かけます。ここからです。メリンダは、市場のような場所に車を停めさせ、バーバラのために花を買うようにマルクに頼みます。マルクが花を買いに行っているすきにタイヤに細工をしてパンクさせます。人通りの多い場所で、死体を積んだ車が立ち往生です。渋滞の原因となる車に警官が近寄りタイヤの交換を促します。交換タイヤは無いと言うマルクに対して、メリンダはタイヤはトランクにあると主張し、警官にトランクを開けさせます。当然トランクからは死体が...。この終盤になってのメリンダの裏切りは、何だナンダ!。

 シーンは一転、バーバラ(今ではメリンダ)の邸。かつてヴァンサンが隠れていた部屋に今度はにマルクが隠れています。するとメリンダが現れ、マルクに子猫を差し入れます。猫でも飼って逃亡生活の無聊を慰めろというわけです。バーバラ→ヴァンサンの関係が、メリンダ→マルクと入れ替わったことになります。メリンダは、バーバラに惚れて自分に振り向いてくれないマルクをやっと手に入れることが出来たのです。タイトルの‘Les félins’=猫が生きてきます。マルクの絶望的な顔のアップで幕。なるほど...。

 欲しい物を手に入れてきたバーバラ、それを側で見ていたメリンダは、バーバラのやり方を見習ったのです。書き忘れましたが、バーバラとメリンダは従姉妹同士で、バーバラから邸をもらう約束ができています。メリンダはバーバラを見習って、見事に邸とマルクを手に入れたことになります。

 NHKのBSシネマで見たのですが、これは面白いです。この時代のサスペンスはひと味違います。
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 鏡のシーンが多いです・・・虚像?
 
【当blogのルネ・クレマン】
海の牙(1947)
太陽がいっぱい(1960)・・・アラン・ドロン
危険がいっぱい(1964)・・・アラン・ドロン
雨の訪問者(1969)・・・チャールズ・ブロンソン
パリは霧にぬれて(1970) ・・・フェイ・ダナウェイ
狼は天使の匂い(1973)・・・ロバート・ライアン

監督:ルネ・クレマン
出演:アラン・ドロン、ジェーン・フォンダ、ローラ・アルブライト

タグ:BSシネマ
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