浅田次郎 鉄道員(ぽっぽや) [日記(2015)]
今更ですが、浅田次郎の『鉄道員』を読みました。 直木賞受賞作の「鉄道員」他7篇を集めた短編集です。『 あとがきにかえて「奇跡の一巻」』によると、長編『蒼穹の昴』脱稿の後、直木賞に落選の失意を埋めるために、また小説家としての資質を確認するため書いた短編だというものです。
長篇小説に携ることで忘れられていたものと
いえば、短篇的な鋭利な発想である。無駄のない文章である。思想と主題の明確な収斂である。
「ラブ・レター」は、ろくでもない生活を送っていたころに身近で実際に起こった出来事を小説にした。
「角筈にて」は、私のいまわしい幼時体験を書いた。
「伽羅」は私の半生の記念である。長いことファッション業界に身を置きながら、いっこうに売れぬ小説を書き続けた。
「うらぼんえ」の冒頭の一行は、何度読み返してもまったく個人的な感情から胸が詰まる。
「ろくでなしのサンタ」には人知れぬ秘密が隠されている。
「オリヲン座からの招待状」は、最も私らしい小説かもしれない。見知らぬ外国人に小説の作風を訊ねられたなら、私はたぶん名刺がわりに、この短篇を差し出すだろう。
タグ:読書
2015-05-25 09:56
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