映画 春を背負って(2014日) [日記(2015)]
小説は、サラリーマンを辞めて父親の跡を継いだ山小屋の主人・亨と、小屋を手伝うゴロさんが出会う、山にまつわる事件を描いたミステリです。
面白いのはのこのゴロさんです。亨の父親の古い山岳仲間で、山小屋経営の経験のない亨の押しかけ助っ人。一年の半分は小屋で働き、残りの半分は下界でホームレス暮らし、という設定です。飄々とした人柄と気の聞いた警句で、小説に奥行きを与えています。
ゴロさんは、『未踏峰』に登場するアスペルガー症候群のサヤカとともに、笹本稜平が作った二大キャラクターです。
映画は、原作にあるミステリ臭を綺麗さっぱり取り去って、このゴロさんに豊川悦司を起用し、ゴロさんを如何に描くかに力点が置かれます。亨の父親は登山者を救うために遭難死しています。亨とゴロさんが出会うシーンで、ゴロさんはおもむろに煙草を吸い始め、
人間と煙草の共通点は何か?、煙になってはじめてその値打ちが分かる
これには笑いました、確か原作には無かったような...。
映画の成功は、このゴロさんにかかっています。強面の豊川悦司が、ヘンにはしゃぎますから違和感が無くもないですが、そういう意味では失敗ではないでしょう。
亨の松山ケンイチ、愛の蒼井優は可もなく不可もなし。名カメラマン、木村大作の山岳映像はグラビアの如しで、これも可もなく不可もなし(原作を読んでいると不可が増えそうですが、原作と映画は別物?)。
と言う映画です(紹介にも解説にもなっていませんね)。
ゴロさん
監督、撮影:木村大作
出演:松山ケンイチ 蒼井優 豊川悦司
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