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映画 海洋天堂(2010中) [日記(2016)]

海洋天堂 [DVD]
 英題"Ocean Heaven "。父性愛を描いた映画です。冒頭、父親と精神障害の息子が、錨を付けたロープで我が身を縛り、海に飛び込んで無理心中を図るというショッキングなシーンで映画が始まります。
 この父子は、水族館の職員心誠(ジェット・リー)と自閉症の息子、大福(ウェン・ジャン)。は末期癌で余命幾ばくもなく、子の行く末を心配した末の心中だったわけです。泳ぎの得意な大福はロープをほどき、心中は未遂に終わります。

 21歳の大福を受け入れてくれる施設はなく、心誠は末期癌の痛みと戦いながら買い物や調理、水族館の雑役など、大福に自活の道を教え始めます。自分だけの世界に遊ぶ自閉症の大福にとって、バスの乗り降りをおぼえることも困難。心誠は自宅で車掌に扮し、大福が「降ります」と言えるまで何度も停留所の名前を叫び続けます。

 大福が、心誠の勤める水族館の水槽を魚に混じって自由に泳ぎ回る姿は感動的です。なかでも、心誠が自分と大福を海亀の親子に見立て、大きな笊(ザル)で造った甲羅を背負って共に泳ぐシーンは胸を打ちます。子亀が親亀から独立する姿を、身をもって大福に教えようとしたのでしょう。滑稽と紙一重の父性愛は涙を誘います。カンフー・スターのジェット・リーが笊を背負って海亀を演じるのですから、悲劇性が強調されるという仕組みです。
大福は民間の福祉施設に引き取られ、心誠は亡くなるという結末で映画は終わります。

 福祉の貧困を嘆くのでもなく非難するのでもなく、父が子を想う姿を淡々と描くだけです。「爆買」の影にはこうした人生もあるのでしょうね、としか言いようがありません。
 で映画としてはどうなんだというと、自閉症の息子・大福の行く末を心配する死期の近づいた心誠 、これだけです。これだけでは単調になるにで、心誠を慕う食料品店の女店主、大福が憧れるサーカスの少女が登場しますが、父この絆の前ではもうひとつ映えません。良くいえば、それだけジェット・リーとストーリーの設定が力を持っているということでしょう。

監督:シュエ・シャオルー
出演:ジェット・リー ウェン・ジャン
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