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映画 陸軍中野学校(1966日 大映) [日記(2016)]

陸軍中野学校 [DVD]陸軍中野学校 竜三号指令 [DVD]陸軍中野学校 開戦前夜 [DVD]陸軍中野学校 雲一号指令 [DVD]
 
 
 
 
 
 
 
 
 『陸軍中野学校』シリーズ全5本を見ました。「陸軍中野学校」は、謀略を目的とした陸軍のスパイ養成学校で、その性格上華々しく歴史に登場することはありません。むしろ歴史の裏側で、殺し殺されたスパイ達の諜報機関です。昭和史の中で最も有名なスパイはゾルゲでしょう。優秀なスパイは捕まらないとすれば、その功績と存在は歴史の闇に埋もれて、永遠に知られることはありません。そうした日本人スパイの物語です。
 シリーズ5本が作られています。昭和13年~から太平洋戦争の始まる昭和16年を舞台に、陸軍少尉・ 椎名次郎が日本の存亡を賭け英米、中国のスパイと死闘を繰り広げます。和製ジェーム・ズボンドで毎回ボンドガールも登場しますが、『007』に比べるとかなりストイックです。

陸軍中野学校(1966)監督:増村保造
 陸軍中佐・岩畔豪雄を思わせる草薙少佐(加東大介)が、若い将校を集め諜報機関・中野学校を作る創設秘話です。金庫破りから暗殺、語学からダンスまである訓練が描かれます。第一期生の陸軍少尉・椎名次郎(市川雷蔵)は、英国諜報組織と通じた婚約者(小川真由美)を殺し非情なスパイとなります。草薙少佐は007のMに相当し、椎名に密命を与える役柄として全シリーズに登場します。監督は、『兵隊やくざ』をヒットさせた増村保造を起用しています。

雲一号指令(1966)監督:森一生
 軍需物資を積んだ貨物船が相次いで爆破され、椎名次郎と杉本(仲村隆)がこの謀略に立ち向かいます。芸者となって憲兵隊将校に近づいた中国のスパイ(村松英子)をあぶり出します。

竜三号指令(1967)監督:田中徳三、安田道代
 第三作で舞台は上海となり、泥沼化する日中戦争の中で国軍に捕まった日本軍将軍を椎名次郎が救出する話です。舞台中国大陸ですが、撮影は国内で行われたため魔都上海や租界の雰囲気は無く、よくある「無国籍映画」となっています。和平工作に携わる中国人(汪兆銘のイメージ?)、好戦派の将校などが登場しますが、スパイ映画ですからその辺りのツッコミはありません。

密命(1967)監督:井上昭
 スパイ容疑で憲兵隊に捕まります。これは、椎名を治安維持法違反で収監された元外務大臣に近づけるため仕組んだ草薙少佐の謀略だったのです。椎名は、日本政府上層部に触手を伸ばす英国スパイ・キャッツアイを炙り出します。ボンドガールは、高田美和、野際陽子。

開戦前夜(1968)監督:井上昭、小山明子
 舞台は昭和16年の東京。 帝国国策遂行要領を決定した御前会議の情報をめぐって、中野学校は連合国スパイと諜報戦を繰り広げます。椎名は、12月8日の真珠湾攻撃の情報を打電一歩手前で阻止し、奇襲作戦を成功させます。スパイ団に協力するボンドガールは小山明子。
 
 市川雷蔵は、1968年に病に倒れ翌年には亡くなります。健在でシリーズが継続さていれば、岩畔豪雄の関わった「F機関」とインド独立運動を描いた第6話が作られたかもしれません。あるいはゾルゲとの諜報戦かもと妄想は膨らみます。旧日本軍の諜報では、スェーデンの駐在武官・小野寺信の活躍が有名です。『消えたヤルタ密約緊急電』が映画化されれば面白いと思うのですが。
 
 『陸軍中野学校』シリーズは2年半で5本と量産されていますから、脚本、映像ともアラが目立ちます。それを補ってあまりありあるのが、陸軍少尉・椎名次郎のキャラクターです。時代劇の大スター市川雷蔵が、スーツ姿で端正なスパイを演じる魅力でしょう。日本が、日中戦争から太平洋戦争に突入して行く暗い時代に眠狂四郎や机竜之助の虚無はよく似合います。  モノクロームです。

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